飲食店長のブログ ~ 人材戦略の実践レポート

実際に飲食店を経営しながら、そのノウハウを突き詰める

アルバイトの能力と教育

アルバイトさんの能力って、そんなに違うのでしょうか。

 

通常、アルバイトさんにそんなにたくさんの仕事や深い仕事を要求しているわけではないと思います。

どちらかというと、誰にでもできる、修行を必要としない、簡単な作業をしてもらうために採用しているのがアルバイトさんです。

 

しかし、そんなアルバイトさんにも優秀とかそうでないとか、覚えが早いだとか遅いだとか・・・、個人個人で能力の差があるかのように捉えがちですが、

アルバイトさんの能力差があるとするならば、それは使う側の教え方とか接し方で変わるものではないのかな、と思います。

 

確かに、同じような教え方をしているのに、スイスイ仕事をこなしていく人と、ぎくしゃくして悩んでしまう人がいます。

 

これは、能力の違いではなく「相性」です。その職場との相性とかトレーナーとの相性でしょう。

ですから、アルバイトさんを有効に、長く働いてもらうためには、採用後の早いうちに「職場との相性はどうか」を聞いたり、確認したりするための観察や話し合いをもつべきです。

 

私のお店の例では、

学業が優秀で、真面目で、聞いたことをメモに取りながら仕事を覚えようとしていた人なのに、仕事は全然うまくいかない事がありました。失敗ばかりするし、簡単な事が覚えられてないようにも見えました。

本人も上手くいってない事が自覚できているようで、焦り気味でした。

見た目には下手くそですし、不真面目に見えるし、不向きにも見えます。このままほっておくと早々に退職です。

「そんなはずはないだろう」と思い、よく観察してみると、

普通のアルバイトさんは次にサーブされるオーダーの準備をしますが、その人は初期にいろんなことを精力的に覚えたせいか、もっと先の事をしようとしていました。

いうなれば、3手先の事を気にして、1手先の事が出来ていないような感じです。

 

不真面目でもなんでもないのですが、結局は「未熟」なんだな、と思いました。

ですから何度も、このことについて本人と話をしました。

「何度も」話をしたというのは、

1回で理解できたように見えても、最初に染み付かせた行動パターンは簡単には変わらないので、何度も話をする、ということです。

なにしろ、まだ「未熟」なのですから、話を1回聞いて、すぐに自分の行動を変える事なんてできません。

 

1年くらい経つと、「これからはこうやってくれ」と言えば、すぐにそうしてくれるようになります。もう未熟ではないからです。先走りしたがる傾向は変わりませんが、作業が抜け落ちる事はなくなってきます。こうなれば普通に使える人になります。

 

誰しもがすぐに使える状態になるとは限りません。

まず 相性 があります。

そして、初期トレーニングにおける微妙なズレのようなものがあります

そして、初期の失敗が 新人を混乱させます。

 

この「ズレ」や「混乱」の程度が大きいと、修正にも時間がかかります。

しかし、最初に書いたように新人アルバイトさんには深い仕事を要求しているわけではないですから、必ず修正できるはずです。教える側が「ズレ」と「混乱」を理解して根気強く明確にリスペクトをもって接していれば、1年も経てば問題はなくなります。

 

そこに行きつくまでにやめてしまうのが「早期退職」かもしれません。

こうなったら、あきませんよ

 

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挙動不審者・理不尽対策

めったにない事ですが、お客様をお店から追い出す事がありました。

外食経験の中では、10年に1回あるかどうかの事態です。

 

モノを壊すとか、従業員にちょっかいを出すとかいう迷惑行為に至った場合は、警察を呼んで賠償してもらいますので、追い出すような事態にはなりません。

ではどういうときに追い出すことになるのか、といえば・・・・

 

わかりやすい例を言えば、「酔っぱらい」です。入って来て座ったとたん、変な事を言い出して何を言っているのかわからなければ、出ていってもらう以外にありません。

こういった「挙動不審者」と認められた場合、従業員に不測の事態が起こらないようにご退席いただくべきなのです。

 

挙動が不審かどうかの線引きは店長に任されます。

 

店長が「話が通じない」「酒臭い」「挙動不審だ」と確信していても、

相手は「暴れたわけじゃない」「何かを壊したのでもない」と主張したり「被害もないのに追い出すなんて警察を呼ぶぞ」とか言ったりします。

 

経験上、どちらも実質的な被害が無い状態では、先に「警察を呼ぶぞ」と言った側が悪者です。言い方を変えれば、何か後ろめたい事のある人の場合が多いです。

 

挙動不審者に「警察を呼ぶぞ」と言われた場合、「どうぞ、呼んでください」といっても、まず呼びません。

 

「警察を呼ぶといって呼ばない」場合、この人は挙動不審者だと判断して間違いはありません。脅そうとしたわけですから。

 

こうなると、もう会話をする必要はありません。「お帰り下さい」「近寄らないでください」だけで充分です。それ以上の会話や説明をする行為はリスクでしかない。

 

変な言い争いになったり、言い負かしたりしても何のメリットもありません。荒っぽい言葉を使ってもいけません。

「お客様と機知を争ってはいけない」のです。「あなたが不審者だからです」とか「ええかげんにせーよ」なんて言ったら、店長の立場が悪くなるだけです。

 

相手はいよいよ困って来ると、前に書いたように「物損や暴力などの金銭的被害もないのになぜ追い出されるのか?と言ってきます。

 

一瞬、筋の通った反論に聞こえますが、理不尽です。騙されてはいけません。

 

物損や暴力があれば警察につきだせますので、追い出したりしません。物損や暴力行為が起こる前だから「追い出す」のです。

 

店長が自分のお店で「ご退席ください」というのは違法でもなんでもないです。しかし、同時に非常に難しい行為です。

店内で飲みすぎたお客様の態度がわるくなってきても、なかなか追い出せないです。ですからチャンスは入店直後しかありません。

 

いうべき時に躊躇して、あとで後悔するような経験を積んでいくうちに、言うべき時にちゃんと言える店長になります。

ちゃんと言える店長こそが「従業員を守ることができる店長」です。

本当大切で難しい事なのです。

但し、

間違った条件で追い出してしまうと、ただお客様に失礼な店長になるだけです。自分の中で必ず確信を持てている事が不可欠なので、ご注意ください。

 

入店直後のお客様の様子はいつも注意深く見ておきましょう。大きなトラブルを回避する方法がこれしかない。

 


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地域による商売事情から学ぶ

昨日は定休日だったので、なんばの繁華街をウロウロしてみました。

さすがに人出が多いですね、外国人の人がめちゃくちゃ多いです。

たくさんの飲食店とか、テイクアウト用のお店とか、いろいろあるのですが、すごーく長い行列ができているお店もあれば、ガラガラとはいいませんが空いているお店もあります。並んでいる方はほとんどが外国人の人です。

 

私から見て、味も値段もサービスもそんなに違いのないお店が隣同士で「長い行列」と「ガラガラ」に分かれてしまっていました。不思議ですね。

やはりSNSの差でしょうかね。並んでいるお店はとことん長い列になっています。「この人達はいつ食べられるのだろうか?」と心配になりました。

「空いているお店に行けばいいのに、大した違いはないぜ」とも思いました。

 

お昼からやっている居酒屋に入りました。「ちょい飲みセット」のようなメニューを注文しました。安いですね。

でも、品質は低かったです。まずいとはいいませんが、チープです。外国人の旅行者の方が多くいらっしゃいましたが、「こういうモノが日本の居酒屋の品質と思ってほしくないなあ」と思いました。

 

で、スターバックスさんが満席だったので、ウエンディーズさんでコーヒーを飲みました。すぐ近くにあるのですがウエンディーズさんはガラガラでしたね。

 

リクルートポスターではスマイルたっぷりの女性が写っていますが、実際の店舗では完全タッチパネルのセルフオーダー制で、マスクをして全然元気のない人がサーブしてくれました。これじゃあ、逆効果ですねえ。イメージも悪いしアルバイトさんも集まらないんじゃないかな。ギャップがおおきすぎる。

これでは・・・・

映画を見て、夕食を食べようと思い、知っている美味しいすきやきのお店に行こうとしましたが、異様に高くなっているのでやめました。

 

で、四国で有名な「骨付鳥一鶴」に行って美味しい鳥肉をいただきました。満足です。

 

「人出が多い地域」は商売が上手くいくのでうらやましかったのですが、、、、

確かにチャンスは多いのですが、そうでもないお店があったり、運営が厳しい状態のお店があったり、何かと大変ですね。

品質を落としてでも安くしないといけなかったり、店舗前通行量が凄く多いのにお店はガラガラだったり、不愛想だったり、行列が長すぎてうんざりしたり・・。

もし私が店長だったら、品質・サービス・快適さ・販促・リクルートなど すべてのおいて考え方を変えないと対応できません・・・。

郊外のお店は、店舗前通行量もまばらですので、お店のパワーや戦略でお客様を増やしていかないといけない。私にはこっちのほうが向いているように思いました。

なんばや梅田の雑踏の中のお店を見て歩く事は、これから何をしていけばいいのかのヒントをいただける機会になりました。

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サプライズと若手社会人のネットワーク

2022年3月の卒業生のTさんから、LINEで予約が入りました。

「5人で予約お願いします」ってことだったので「誰と来るんかな?家族かな?」とか思いましたが、あえてそれは聞かずに予約を受けました。

Tさんは就職で東京に行きましたので、何かの用事で関西に来るのでしょう。就職して1年ですから、そんな時間も必要です。

で、当日ご来店された5人は、なんと!2022年の卒業生の総勢5名でした。

京都の北部にいる人と大阪にいる2人と愛知県にいる人も来てくれました。

 

「おいおいこういう5人だったら先に言っておけよ」と言いましたが、あえて隠してサプライズにしたかったみたいです。

みなさん社会人として1年経って、ちゃんと安定していましたので安心です。嬉しかったですね。

 

Tさんのインスタ

で、ちょっと面白い話を聞きました。

就職で東京や神奈川に引っ越した当店のアルバイト卒業生のネットワークがあって、ときどき「親睦会」みたいなものをやっているようです。関東親睦会ですね。

 

驚いたことに、直接アルバイト時代には接触していなかった先輩(5歳以上先輩)ともその「親睦会」を通じて知り合いになっているようです。

 

これは素晴らしい事ですね。

 

一緒にアルバイトした仲だったらわかるのですが、年代的に一緒に働いた事のない「先輩の先輩」とコミュニケーションできるって、すごい事だと思います。

 

一緒に働いた事はなくても、「同じ釜の飯を食った仲間」の意識が働いたり、話題が一致したり・・・。

職場が違っても、気心の知れた大先輩からの適切なアドバイスがあったり・・

年代も業種の違う先輩から職場の話を聞いたり・・・

こういうネットワークが若い人の成長を早めたり、困難に立ち向かうためのチカラの源泉になることは間違いないでしょう。

 

「1年生から始めて卒業まで働ける職場」としてアルバイト採用をしておりますが、店舗のサービスに対するメリットだけでなく、アルバイト本人たちへのメリットもあるようです。

簡単に辞めさせてしまうのではなく、大学4年間続ける事のできる職場を作っていくって、とてもよい事だと確信しました。

 

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愛されるメニューへの道

今月「まぜ焼き」という新メニューをスタートさせました。

何度も試食してからメニューに付け加えましたので、味には自信があります。

たいがいの飲食店は「新メニュー」を始めたときは「売れるに違いない」とか「売れたらいいなあ」と思って始めるのですが、やってみると全然売れなかったりするのです。

 

「売れた時」と「売れなかった時」の両方を考えながらメニュー戦略を立案することは大切です。たとえば新原材料を使わず、共通原材料を使う事によって、新規のコスト負担を減らし、多少売れなくてもメニューに出し続ける事が出来るようにするとか・・。

 

しかし、売れなかった時の対策よりも、売れるための対策のほうが楽しいですね。

 

まずは美味しい事調理手順が確立されている事が重要です。その次は従業員の販売意欲を高める事でしょう。そして次に大切なことが「告知」です。

SNSでの告知だけでなく、店内告知もポイントです。

今回の「まぜ焼き」は店内メニューとポスターで告知しています。

 

面白いことに・・・・現時点で数個売れていますが、すべて同じテーブルからのご注文でした。つまり、ポスターが貼ってある壁に面したテーブルからしか注文が無いということです。

 

ポスターを見た人が「おいしそうだなあ」と思って、ついつい注文してしまうようなポスタ―なんだと思います。

 

こんなポスターです

友人に安くてきれいなポスターを作る方法を教えてもらって自分で作ったものです。

自画自賛ですが良い出来だと思っています。

 

値段で勝負できるメニューは比較的簡単に売れます。

しかし、そうではないメニューは「商品を育てる」プロセスが大切です。

売り出すまでには努力するが、売り出してからは「商品力」だけに頼る感じになるケースが多いですが、本当に大切なのは売り出してからの持続的なアクションです。そういう意味ではこういったポスターを作る事はとても有効な方法です。メニューに載せるだけでなく、特別な告知をする事ができるのですから。

 

「愛されるメニュー」に育てるか、結局廃番になるか・・・。

勝負ははじまったばかりですが、しっかりした投資をして、従業員一同努力したいと思います。

結局はアカンかもしれませんけど・・・

 

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被災地の再建:七輪がありませんけど待ちますよ

石川県能登半島に水害と地震が連続したため、地場産業が打撃をうけているようです。

 

この地方は珪藻土七輪の産地ですが、相次ぐ災害の影響をうけて生産がストップしています。生産がストップすると私たちは困るのですが、現地の方はどんな気持ちなのかを考えると心が締め付けられます。

生活の再建をするためには、事業の再開が必要だと思います。一日も早く再開していただきたく、何か応援する事は無いものか?と思っています。



とはいえ、私も代替となる七輪を探さないといけないので、いろいろ探していたら、在庫をもってそうな業者さんを見つけました。早速数個買ってみて、当店で使えるサイズ・タイプである事が確認できれば、もう1回多めに注文しようと思っていました。

最初の物が届いて、問題はなかったので、追加で数個注文しようと思ったら、注文できませんでした。業者さんに「なぜストップしたの?」と聞いたところ・・・

 

「ある全国チェーンさんが300個買い取ったので在庫が無くなりました・・」とのこと。

 

「こりゃ、大事件だ」と思いました。

 

珪藻土の七輪は消耗品ですから、数か月から数年で壊れます。永久に使える物ではないのです。ですから七輪の確保は死活問題となりますね。

しかし、頻繁に注文されるものではないので、問屋さんなどには、品薄になっている事に、まだ気が付いていない会社もあります。

中には中国産もあるのでいつまでも品薄ではないようです。被災地の事を考えると、中国産は使いたくないですが、最低限な営業を維持するためには仕方ないですね。すみません許してください。

 

私のような個人店は予備が数個あれば問題ないですが、大型チェーン店だと数百個・数千個を確保しようとするでしょう。

 

この状態が続けば、市場の構造が変わってしまったり、営業形態を変えるお店が現れたりするかもしれません。天災には逆らえませんが、被災地の皆さんは何とか頑張ってほしい。もし営業再開したら迷惑にならない範囲で必ず能登半島産の七輪を購入します。

事業の再開を待っています。

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効果的な試食活動: 一口しょうゆうどんいただきました。



テレビであるうどんチェーンさんが「全てのお店に面職人が誕生しました!!」という宣伝をやっています。

特に気にとめてもいなかったのですが、たまたまそのうどんチェーンさんに行きました。すると、こんなポスターが貼ってありました。

 

うどん屋さんでうどんを一口試食させてくれる」ってことです。

つまり、うどんの品質を高める企業努力をしたので、その成果を確認してもらう企画のようです。

私は香川(うどん県)に数年住んだことがありますので、美味しいうどんとはどういうものなのかは知っているつもりです。

その日は告知通り、レジ近辺で「一口うどん」をいただきました。ですから、お会計までにこの一口うどんをいただくのです。

さらに、レジの横に一口うどんの評価をするような仕組みがありました。

提供された小さなカップをどこに入れるのかで評価するシステムです。

 

 

3段階の評価システムでしたが「結構評価が割れてるなあ。」と思いました。この試食企画の目的は達成されていないんじゃないでしょうか・・・・。

 

正直なところ、あとで肉うどんを食べている時は「美味しいうどんだなあ」と感じていましたが、この「一口うどん」をいただいたときは、それほどおいしいとは感じませんでしたので、私は「そこそこうまい」に投票しました。

 

思ったのですが

100%のお客様がうどんを食べるお店で、同じうどんを事前試食させる」っておかしくないですか。みんな好みの味のうどんをたべにきているのに、醤油で味付けしただけのひとくちうどんを食べても、感動しないですよ。

 

みんながそばを食べているお店だったら、このやり方は理解できます。しかし、同じうどんをほぼ味付け無しで食べさせたところで・・・そこまで「うどん通」でもないですから・・・正直に反応してしまいます。

 

昔、マクドナルドのコーヒーがきわめて美味しくないと思われていたとき、味の改善をしまくった後に、無料配布をしまくって、評価を高め、みんなに飲んでもらえるようになった、という経験がありましたが・・・これは、同じ試食活動ですが、似て非なるアクションですね。

 

そもそも「試食活動(サンプリング)」というのは、現場でお客様と店員の関係があるから出来る事です。どうやったら効果的な試食活動ができるかはお店によって違ってきます。きわめて店舗レベルな取り組みのはずです。

 

しかし全国ネットのCMで「一口しょうゆうどん」の映像を配信するなど、本社が主導しすぎたのではないでしょうか。本社がここまで主導すると、やり方を工夫することができないので、企画に小さな欠陥があってもそのままやらなくてはいけません。

「試食活動」などは全国統一企画ではなく、個別店舗にまかせたほうがよかったんでしょうね。

私も試食に挑戦しようとする事はとてもいいことだと思いますし、ときどきやっています。学びがありました。

 

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