飲食店長のブログ ~ 人材戦略の実践レポート

実際に飲食店を経営しながら、そのノウハウを突き詰める

協力金の構造について、冷静に分析してみましょう

飲食店長のブログだからこそ書ける、ものすごく基礎的なことをかきます。

■時短要請協力金って何円でその根拠は?

一般的に飲食業のPL構造は変動費60%と言われています。変動費とは「売上げがゼロならゼロになる経費」です。代表的なものは食材費です。商品を作らなければ材料は使わないからです。労務費は固定的な部分もあるかもしれませんが、店を閉めてしまえばゼロと考える事ができます。

で、普通の飲食業の食材費(原価)と労務費の合計は60%くらいであろう、というのが通説です。

したがって、売上げが損益分岐点にあるときは変動費60%ですから固定費40%です。「固定費」とは家賃とかオーナーの生活費とか、売上げが無くても発生する費用です。ですから政府はこの40%を協力金として払えば、休業してもらえるはずだ、と思っています。

現在の基準では

1日の平均売上げが10万以下のお店には1日4万円支給、つまり40%

1日の平均売上げが10万以上で25万までは、すばり売上げの40%支給

1日の平均売上げが25万以上のお店には10万円支給、これは25万円の40%

売上は前年度、前々年度の数字を使う

という事になっています。

ですから1日の平均売上げ10万以下のお店は、売上げが低くなればなるほど過剰支給になります。1日の売上げが25万を超えると高くなればなるほど、支給額が足りないってことになります。

また、そもそも自宅で営業していて家賃負担が無いお店は固定費が40%より低くなりますので過剰支給になります。ずっと赤字で変動費用が60%以上だったお店も過剰支給になります。こういう立場にあれば、文句はいわずじっとしています。多くの飲食店は個人でひっそり営業していたお店が多いですから、営業を停止してますが。ただ、よっぽど経営が成り立っていなかったところは「儲かっている」でしょうが、普通にやってたところは最低限の生活ができているだけでしょう。

 

逆に返済額が大きかったり、食材費を低く抑えていたお店にとっては支給額が足りません。店舗ごとの状況は千差万別ですから、末端の1店舗1店舗ごとに、大きな数字の枠をはめても、うまくいかないんですよ。不公平になるのは当然です。私もあんまり儲からないので、営業継続しています。

 

また月商750万以上で社員を抱えながら営業していたお店は25万もらっても足りません。昔、私は担当していた大型店は家賃が400万を超えていましたので、こんな事があったら「悪夢」としか言いようが無いです。難波、梅田の大型店が自粛要請を無視して営業しようとするのは、なんとも致し方ないかもしれません。ですから、自治体はこういうお店と話合って、感染対策や席数調整をして、営業させてあげればいいんじゃないでしょうか。そうでなければ上限なく経費の面倒を見てあげなければ、必ず倒産します。

1日売り上げ10万以下のお店も、立地上「密」にならない店舗には営業させて、難波、梅田のお店がむちゃくちゃに混まないようにしたらよかったですね。

現実は郊外のお店は、休んでも生きていけるから休む、繁華街のお店の一部は倒産したくないから営業する。繁華街のお店しか営業していないから、その店がものすごく混む。それをみた近隣店舗が「そんなに儲かるなら」といって開けだす。

こんな感じです。

 

どこに行政の努力や平等な政策がありますか。

 

まだ、飲食店は協力金があるからいいですが、酒屋さんとかおしぼり屋さんとか関連業者のみなさんは大変です。知事は自粛要請を出すべきかどうか悩んでいるって言ってますけど、まず、現状は人流抑制に対する効果は出ていません。今の政策によって、もっとも抑制したい繁華街にお客さんを呼び込んでいます。

感染数全体が減っているからといっても、

飲食業の営業自粛、禁酒の効果ではない。

これからは成果がでる事もないです。「禁酒」という言葉の強さから効果があるように見えているだけではないかな、と思います。

 

また、人材育成に対する影響なども含めて、別の機会に論じたいと思います