飲食店長のブログ ~ 人材戦略の実践レポート

実際に飲食店を経営しながら、そのノウハウを突き詰める

現場にいない指導層、現場にいるが現場感の無い責任者

現場を知らない人達が出した施策について、現場ともめる事は当然、あります。

経営者がマクロな発想(作戦)で、業界(組織)全体を改善しようとする事は絶対に必要です。しかしその発想(作戦)がまったく適合しない現場は、存在して当然。全体主義でもうままくいかないし、その逆ではまとまらない。この調整役が現場の責任者と経営側との話し合い、意見交換、ではないかと思います。

政府の分科会が「デパ地下が危ない」と言い出しました。それに対して、「我がデパートの地下食品売り場は危なくない」という現場の意見もでています。

どちらの意見も正しい。

分科会といえども、すべてのデパ地下を見たわけはありませんので、彼らが見たデパ地下は危ない状態だったのでしょう。

ただ、そこで「全国のデパ地下がこんな状況だったら・・・」という仮説が入った上で、今回の提言「デパ地下が危ない」になっています。

分科会は「もし、このままなにも対策しなかったら」とか「もし、飲食店で大人数が大騒ぎしたら」とか、「もし、飲食店がお客様の大声を阻止できなかったら」とか、必ず仮想条件を付けて対策を提言します。提言の大元が仮説なのです。

提言の根拠が仮説ですから全ての現場に持ち込むには無理があります。その程度の事と聞き流しながら現場に最適化させればいいと思います。そうする事が分科会の価値を高める事になるはずです。

でも、実際は「現場にいるが、現場感の無い責任者」によって、マクロな提言が、「現場への指示」に変わってしまいます。無駄な投資、無理な変革が行われる事により、分科会への反発が生まれます。

だから、今では、分科会の提言は信頼感を失い、人流なんか減りません。

最初の緊急事態宣言のときは「ゴーストタウン」になった繁華街も、今では緊急事態宣言下なのに普通に機能しています。分科会はやっきになって、より具体的、かつセンセーショナルな提言をしようとしますが、反発は高まる一方です。

 

たとえば「〇〇県に大雨が降るから自分の命は自分で守ってほしい」と気象庁が発表すれば、みなさんキチンと非難しますよね。でも、分科会が「命の危険」を訴求しても、守ってはもらえません。大衆は聞き分けているのですよ。

 

見極められたリーダーは変化するか失脚するかじゃないでしょうか。

大切な事は、現場がしっかりする事です。