飲食店長のブログ ~ 人材戦略の実践レポート

実際に飲食店を経営しながら、そのノウハウを突き詰める

手法の話に終始して、本質が埋没する

お客様の満足度の向上の決め手は、相手の望む事をしてあげる事だと思う。

だからといって禁煙のお店で「たばこを吸いたい」、と言われても無理な話です。

だから「この店は禁煙ですか」と言われたときは「はい禁煙なんです。すみません。」にプラスして、なぜ禁煙なのかをお話するようにしています。

兵庫県の店舗は、「喫煙可能」を選択する事もできるのですが、喫煙店舗に登録すると未成年と妊婦は、全時間帯店内立ち入り禁止になります。そうなると、家族連れは入店できませんし、アルバイトさんの半分以上はクビしないといけない。そんなことはできないので禁煙なんです。

きちんとしたコミュニケーションを取る事でお客様も納得して、リピートします。現場を見れば論理の正当性は一目瞭然ですから。

 

 

分化会の尾身先生が

飲食店等に対して「人流抑制」ではなく「人数制限」が有効だ、とか言い出しました。ステイホームなんかしなくていい、とも言うてます。

よく聞くと「密を避ける」ってことを言ってるんだと思いますが、今になって「酒の自粛は関係ない」とは、どの口が言うてんねん!と思います。

この人たちの言い方には共通の欠点があります。なるべく具体的な言い方をしようと思ってつじつまが合わない事態になる事です。

たとえば「人数制限」とは人と人の間隔を開けて密を避けることを意味してるんだと思います。大きな声でおしゃべりする事で飛沫が飛ぶことを避けたいってことでしょう。

では、すでに客席の間隔がとても広くて、静かで豪華なつくりのレストランは制限がいらないのではないか?とか。逆にそもそもテーブルが小さくて席と席が詰まっている駅前の居酒屋では、同伴人数を制限しても効果はないのではないか?とか質問が出ますよね。

 

いろんな現場がありますので、具体的な事を軽率に発言すると現場では意味不明になるのです。時と場合や人や場所によって当てはまらない事も多いからです。

 

だから、手法の話ではなくて、本質論を粘り強く主張しつづけるべきなのです。

 

「お酒を売るな」とか、「早く閉めろ!」とか、指示する意図はなんなのか?本質を理解してもらう努力が必要なのです。手法の提示が本質の理解の妨げになるなら、言及を避けるべきです。現場ごとの対策は現場にゆだねるしかないのです。

 

リーダーが手法に言及すれば、具体的指示となる。だから一時はみんな聞いてくれてうまくいくように見えます。飲食店に例えるなら、店長が言うべきことを、店長を無視して本社の上司が店員に直接通知してしまうような行為です。

 

しかしそのやり方では、状況が変わって、手法を変えた場合、本質を理解していないメンバーから、不平や質問が止まらなくなります。結局失敗する。

 

リーダーが「結果を出す事」を急いで、軽率な表現を選択してはいけない。

 

「飲食店に問題があるのはたぶん間違いない」と言ったのは分化会なのですが、いまになって「飲食店には問題ない、自粛する必要ない」とか言ったら、飲食店が喜ぶとでも思っているのでしょうか。ナめないでほしい。

 

 

かならずしも、全ての現場には当てはまらない事を当たり前のように言われると「正当性」を感じなくなります。

具体的な事を言おうとして、自分の現場感の無さを露呈してしまうリーダーが多いので気を付けたほうが良いですね。

本質を伝える努力とリスクを放棄したらリーダーとしては、結局2流の仕事しかできなくなると思う。