「従業員ひとりひとりがお客様の状況に合わせて、自分の判断で自分らしいサービスを展開してくれる。それにお客様が満足している。」
こういう状況を夢見る飲食店長は多いのではないでしょうか。私もその1人です。
そのために店長(経営者)はどうするのか? 難しいテーマですし、永遠に結論には達しないでしょう。
でもヒントはあります。たとえば長年ご夫婦で営まれているお店なんかは、理想に近いお店もあるのではないかと思います。安定したムードがありますし。
でも、アルバイトを雇って、そこそこの規模で営業している飲食店にとっては、大変難しい課題です。同じメンバーで固定されませんからね。
早めにあきらめて、「画一的なサービス」を目指すべきかもしれません。
私は、せっかく飲食店を開いたのだから、アルバイトさんによる営業ながらも画一的でなく、個性の効いた(生きた)サービスのできるお店になりたいな、といつも思っています。
結論には達していませんが、ひとつの方法論として「従業員にひとりひとりにサービスに関する権限をどんどん預ける事」がポイントなのではないかと考えました。
そこで、私が考えて実行した事があります。
新人教育のうちから下記の4点を強調しました。
・おしぼりの交換は何回してもいい(月1000本までコストは固定だからもっと使おう)
・焼き網の交換は何回してもいい(汚れた網で塩味の焼肉を焼かせたくない)
・もつ鍋のスープはすぐ補充する(スープの足らない鍋って最低やん)
・お客様は割り箸を何本使っても良いのだ
つまり、新人のうちからおしぼりの交換、焼き網の交換、スープの補充は「自分の判断による仕事」と位置づます。食器や皿をおさげするときに割り箸が載っていたら一緒におさげして「新しいお箸をお使いくださいね」と言えるようにします。
文章化したマニュアルは無いので、タイミングは難しいようですが、私が「網交換した?」とか言って確認をすると、だんだん積極的なってきます。
何度か確認したり指示したりしていると、いくつかの権限が自分に委譲されている事がわかってきます。自分で勝手に判断して良い事も理解しはじめます。
お客さんが喜ぶことなんですから、どんどんやってよいのです。コストは知れています。コストがパンクするぐらいできたら大したもんです。
この辺を入り口として、自分らしいサービスができるようになってくれたらいいなあ、と常に願っています。
おしゃべりの人もいるし、すました人もいるし、必死な人もいますけど、「自分がお客様に何ができるか」をまず知ってもらう(武器を与える)ことができれば、勝手に使うでしょう。
昔で言う権限委譲的な事、今でいうエンパワーメント的な事ですけど、そういう考え方です。