飲食店長のブログ ~ 人材戦略の実践レポート

実際に飲食店を経営しながら、そのノウハウを突き詰める

「早期育成」の罠

アルバイト卒業生のRさんがワーキングホリデーで外国に1年間旅立ちました。旅立って1か月くらいした時、急に電話(LINE通話)がかかってきました。

 

何の話かと思えば、、

現地でもつ鍋を出す日本料理店で働き出したのだが、ぜんぜん楽しくないという話。

愚痴というかホームシックというか、、、、、でも、気の毒なので話を聞いておりました。

 

よくある「新しい仕事に慣れるまでのストレス」だとは思いますが、なぜ私に電話をしてきたのかと聞いたら、意外な答え。

 

彼女はかなり人見知りだったので1年生のときは「ご注文いただきました~」とかの景気づけの掛け声が出せなかったのです。でも、仕事は真面目で人一倍よく動くんです。ただ、大きな声が出ないだけでした。

 

そんな様子をみていた私が、「キミは、今、大きな声は出てないけど、他の仕事はとてもがんばっている。声が小さいままで良いとは言わないけど、このまま慣れていってくれればいい。」と言ったらしいです。

 

1年もすれば彼女はにこやかな模範的従業員になっていて、先輩に可愛がられ、4年まで安定して働き、後輩に優しい先輩になっていました。大きくはないけど普通の声も出ていました。

 

そういう経験から、私を信頼してくれていて、今の職場で「声が出ていない」と何度も言われる事について 相談してくれたんだと思います。

 

まあ、「いろんな経営方針があるから、頑張れ!」としか言えないけどね。

 

 

人を雇ったとき、その人がどれぐらいの期間働く設定なのかによって、経営者の余裕度が変わってきます。当店で言えば「4年間」働く設定です。

 

ですから、そのうちできるようになるだろうと思われるスキル面の問題には目をつぶります。どうせだんだん良くなるからです。だんだんヘタになる人はいませんから。

 

逆に、「素直に謝る」とか「真面目に働く」とか「時間や期限を守る」等のモラル的な事に不具合がある場合は 早めに指摘して改善させます。こういう傾向はだんだん悪化する傾向があるからです。人はだんだん気が緩んできますからね。

 

仮に退職率が高くて「半年から1年間くらい」しか働かない設定で雇った場合、モラル面もスキル面も両方フォローしながら、とにかく早期育成を目指す事になります。

 

こういうお店は、退職率を下げて平均在籍年数を増やし、余裕をもって育成するか、短期採用に徹して、仕事を簡素化し教える事を絞るしかないでしょう。

 

そうでないと、どんどん早期退職が増加し、立ち行かなくなります。

 

ですから、職場にマッチした育成方針を立てることが賢明と言えます。やみくもにマネをしたり、理想を追い求めても失敗するだけです。

 

退職率がさがれば、過度な早期育成は不必要です。