飲食店長のブログ ~ 人材戦略の実践レポート

実際に飲食店を経営しながら、そのノウハウを突き詰める

師匠

20代の「駆け出し」のころから仕事を教えてもらった先輩がいます。5歳くらい年上の人です。顔と声が怖くて、いかにも厳しそうな人です。

 

妻には「この人は俺の師匠だよ」と言ったことがありました。

妻からは「自分中心なあなたにも師匠がいたのね、ほっとしたわ」と言われました。

ご本人に「あなたが師匠です」とは言えませんが、100%頭が上がらないくらいお世話になっています。

何度か仕事上の「部下」になったときは、大きな失敗をする私を突き放すことなく甘やかすこともなく「育成」してくれました。

自慢ではないですが、私は何度か大きな失敗をしています。でも大きな失敗の後は必ずそれ以上の成果を上げていました。

そういう時に師匠は苦笑いしながら、喜んでくれました。

仕事では甘やかしてくれませんでしたが、成果は認めてくれます。

 

口は悪いです。「おまえにはえらい目にあわされた!!」とか、よく言われます。

お店に来られた時は「おまえ!ぼったくるなよ!!」とか言われます(笑)

 

ご自分が出世するたびに、新しいチームのスタッフに私を呼んでくれましたし、そのチームで私が成果を上げれば、評価を高めて違う部署に送り出してくれもしました。ですから20代から40代まで何度もチームを組みました。

師匠も私ももうその会社にいませんが・・。

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先日、私のお店にその師匠が何人かで食事に来てくれました。

 

食事中にフラっと外に出られたあと、急に厨房にまで入ってこられて

 

「おい!となりの店も、そのとなりの店もお客さんが全然入ってないぞ。でも、お前の店はほぼ満席やな。商才あるなあ。」

 

60過ぎた私をまた褒めてくれました。

 

(こういうことなんだな)

部下が気づかない具体的な成果を見つけて、評価してくれる。具体的な成果や結果を評価するので不公平感が無く、悪い評価も受け入れられる。

評価方法は成果評価が主体で努力や行動の評価はあくまでも副産物である。評価されると同時に具体的な成果の測定方法も理解できる。

 

「この人についていこう。っていうか、この人には絶対に逆らわない」、と若い頃に決心しておいて本当によかったと思います。

 

ガラは悪いのですが、中身はgentlemanなんですわ。

 

結果測定が正確ですから、失敗を失敗と認識させられる事はありましたが、怒鳴られたりしたことはないです。

 

仕事に厳しく、自分に厳しく、情の深い人です。もう定年しているのに、この人と話をしてほしい人はむちゃむちゃたくさんいます。

 

長生きしてほしいと思います。恩人でもあります。