飲食店長のブログ ~ 人材戦略の実践レポート

実際に飲食店を経営しながら、そのノウハウを突き詰める

卒業パーティの意味

なぜ、卒業パーティをするのか?

卒業パーティの意味は?

 

人手不足に悩む店長さんは「人を雇う事」ばっかり考えていませんか?それは間違いです。

店長が毎日気にかけないといけないのは、真面目に働いてもらう事と気持ちよく辞めてもらう事です。

 

雇い入れる事は重要ですが、募集広告を出してしまえば あとは、ほとんど何もすることが無い。

 

待つだけです。

 

採用基準が下がるなら、ピンポイントで勧誘したりしないほうがいいです。

 

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先日の卒業パーティで、美しい光景がありました。

全員で乾杯したあとすぐ、4年生全員が1年生のテーブルに出向いて「あんまり親交なかったけど、今日はよろしくね。」と言いに行きました。本来は後輩が先輩のテーブルに行くのが普通なのですが、先輩が後輩のテーブルに行ってくれたのです。

 

はじめての卒業パーティで緊張していた1年生のみんなの顔はパッとあかるくなり、宴会の雰囲気はとてもよくなりました。

 

・お店を大事に思う気持ち

・あとを託す気持ち

・今日を楽しく過ごしたい気持ち

いろんな期待を感じられ、感動できるシーンでした。

 

良い職場を作って、先輩が後輩に託す気持ちを醸成すること

これが、人材を充足させる秘訣です。

 

良い環境の職場を作ったって、応募者には伝わらないから無駄なんじゃないか?と思っている人は理解が浅い。

 

お店の労働環境に関する評判は確実に伝わっています。

アルバイトさんから、

出入り業者さんから、

お客さんから、

無数の情報が出ているのです。

 

頑張りたい気持ちがあってもどうしていいのかわからないのが1年生。

それが解っているのが4年生。

だから”4年生がどういう気持ちで働いてきたのかをちゃんと伝えることができる場が”卒業パーティ”です。

 

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当店には卒業パーティ時に撮る写真を飾っておくスペースがあります。1年生から4年生の卒業パーティまで続けてくれた人だけがこの写真に写る事ができます。

今回卒業したTさんはこの写真を「殿堂入り」と呼び、2年生のころから、殿堂入りが目標だ、といっていました。で、めでたく殿堂入りした事を、素直に喜び、他のアルバイト先との違いをみんなの前で堂々と語ってくれました。

 

こうなれば、お店の労働環境についてネガティブな情報は出ません。

「スキの無いリテンション活動」が実現するわけです。

もちろん、100%スキのないリテンション活動なんかありません。しかし、公的な場面で退職者が後輩に託す意思を示す事で、問題点が浄化されたり、苦しい思い出が良い経験に変わり、スキが無くなるのです。

 

退職者を気持ちよく送り出す。退職者が後輩に後を託す。

 

この、流れのスタート、ゴールになるのが、卒業パーティです。

こういう視点で、ぜひ実施してください。思いもよらない素晴らしい成果があります。

 

「卒業」という形ではない場合もあります。とにかく辞める人を大切に送り出してください。これができない状況の職場は、まずそこからとりくんでみましょう。

 

退職者に冷たい職場は人材不足になります