「宴会不要論」が、昨今常識化しています。
しかし、
私のお店では今年の9月に「新入生歓迎会」なる宴会をいたします。
自店舗で、みんなで遅くまで
食べますし、飲みます。(お店は休みます)
グランドオープン以来、年間2回の宴会を欠かした事はありません。
これは単なる宴会ではなく、重要なイベントだからです。
イベントとして目的の不明確な宴会は不要だと思います。
目的やプログラムが不明確だから上司や先輩の説教を許す事になってしまうのでしょう。ちゃんとした長期的退職予防計画にもとづいた中のひとつのイベントとして位置付けた宴会を「禁止」したら、その長期的退職予防計画自体が破綻します。
これは恐ろしい事です。
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とかく飲食店というのは20人くらいのアルバイトを採用していても、
全員が一緒に働くことはありません。
いつも「同時」に働く人は数人です。
ですから定期的なイベントがないと
仲良くなれません。
毎年秋口におこなわれるのが「新人歓迎会」で
3月に行われるのが「卒店(式)宴会」です。
プログラムはいたって簡単です。
乾杯して食事して
1年生から順番に簡単なスピーチをして、中締めです。
中締め後は早く帰る人は帰って、まだまだ話し足りない人たちは
おそくまで語り合っています。
2~4年生は、もう楽しみ方を知っているので、最初からリラックスしています。
いわゆる「イッキ飲み」のような、不必要な「盛り上げ隊」みたいな事はせず
個人的な話、恋の話、就活の話など、いろんな事を語り合っているようです。
店長はほとんどテーブルには参加しません。居場所もないですから。
もっぱら、料理作りに専念しています。
9月の新人歓迎会では、上級生が1年生のテーブルに入ったりして、
打ち解けるための宴会になってきています。
1年生のスピーチは、とにかく面白いですね。自己紹介してくれればいいだけなのですが、
「そんな人だったのか?」と思わせるエピソードが飛び出します。
長期にわたって海外に住んでいたとか・・・
インターハイに出てたとか・・・(今言うか?って感じ)
3月の卒店式では
毎年、4年生のあいさつが圧巻です。
4年生にとっては最後のスピーチです。
「なぜこのアルバイトを選んだのか」
「辛かった思い出、楽しかった思い出」
「もっとも感謝する人」
「4年間で自分がどう変わったのか」
「いままで言えなかった事」
など、ほんとうに後輩の胸を打つ話をしてくれます。
数年前の卒店宴会で、卒店する人が
「実は自分は中学・高校時代に野球部だったが、面白くなかった。『先輩』という立場に馴染めなくて、後輩と上手く関係が作れなかった。しかしこのアルバイトでは、なぜか後輩と一緒に仕事したり遊んだりできた。俺は変わる事ができた」
と言いました。
まさか人間関係で悩んでいる人には見えなかったので、みんなびっくりしてすこしパニックになった事を覚えています。
このように、
話の内容が濃くて、長いので、他に盛り上がるためのプログラムを用意する必要がありません。言葉の力を再確認できます。
人間の本心から出てくる「あけすけな言葉」をあらたまって聞く機会はそうそうありません。どんな会議よりも有意義で楽しい時間になります。
卒店宴会は、そういう雰囲気を作る絶好の機会であり、最良の環境です。
宴会という形式をとらずに、同じ事ができるならやってくれたらいいですけど、私には想像できない。
アルバイトの先輩と後輩の会話にはよく「宴会はすっごく楽しいよ」という言葉を聞きますし、「卒店宴会までアルバイトを続けたい」という声も聞きます。
大学4年間では、いろんなアルバイトを経験する人がほとんどです。
いろいろ掛け持ちする中で、当店のアルバイトが4年間抜け落ちない傾向にある理由のひとつはこの卒店宴会の効用なのです。
ただし、卒店式というのは、どんなお店でもすぐにできるアクションではないです。
なぜなら、
卒店者がいなければ卒店式はできないからです。
私のお店でもグランドオープンで採用した大学2年生アルバイト5人を「辞めさせないようにする」ためのアクションの最終到達点が「卒店式」でした。
採用時から卒店式をイメージしていましたので、たくさん写真を撮ったり、話し合いをしたりしながら心を繋いでいきました。グランドオープンでお店のシステムも脆弱だったので、必死でしたが、3年間誰も辞めることなく「2018年第1回卒店式」のこぎつけました。それ以来毎年5人以上の卒店者を送る卒店式をしています。もうやめられん。
退職予防アクションの到達点(GOAL)が卒店式です。そして退職予防アクションの中でもっとも難しく、かつ有効なものが「卒店式」です。
自分のお店に「卒店者」がいない店長さんは、なぜいないのか考えてみてほしいです。
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