飲食店長のブログ ~ 人材戦略の実践レポート

実際に飲食店を経営しながら、そのノウハウを突き詰める

地域に根ざした人材育成の重要性

「人手不足」って言っても、

いろんな地方・環境によってその言葉の実態や受け取られ方が違うと思います。

 

私は

35年くらい前、日本海側の地方都市(舞鶴)で飲食店のグランドオープンのメンバーになりました。

それなりの街でしたが、18歳から22歳でアルバイトできる人はほとんどいません。そういう人は地元で正社員として働いているか、大都市の大学に進学するため流出していました。

ですから、高校生か、主婦か、シルバーエイジの人を採用しました。シルバーエイジ活用の先駆けともいえます。閉店作業をしている3人のメンバーのお歳を足しこむと200歳を越えます。

何とかグランドオープンしたあとは、地元の専門学校や高専高校や数少ないフリーターの発掘に努めていました。

 

20年くらい前に、四国の太平洋側の地方都市の担当になった事があります。さすがに人口が少ないので、使える人材を集めるのは難しかったです。街に人がいません。

こういう経験をしていると、自然と「アルバイトさんを大切に扱う」ようになります。辞めたら大変ですから。

 

15年くらい前に新宿に住んだことがあります。

夜の新宿を歩いていると、居酒屋さんの前で呼び込みする人がいました。チェーン店っぽいお店ではほとんど配置されていました。それも学生アルバイト風の元気のない熟練してない人です。今でいう「キャッチ」ではなく、ただお店の前で声を出している人です。

「お店がヒマだから呼び込みさせられてるんだな」と思いました。

「でも、こんな下手くそな呼び込みを出すくらいなら、しないほうがマジだな。せっかく採用した若い人にこんな不毛な仕事をさせるなんて、人の扱い方を知らないなあ。」

と思いました。

実際、新宿の街は常時たくさん人間が歩いています。東京には地方では考えられないくらいの人間が住んでいます。私には「東京では人が余っている」ように見えました。しかし、東京の経営者さんは皆、口をそろえて「人が足りない」と言っていました。

たしかに営業時間は長いし、競争は激しいので、店舗経営は難しそうです。

 

このように大都市と地方都市では状況が全く違います。

しかし同じように「人手不足」を訴えている人がいます。両方の現場をよく知らない人には、「違うものが同じもの」に見えているでしょう

 

人材育成、人集めについて大都市と地方都市で同じノウハウを使わせることは、危険すぎると思います。

 

スキルが足りない人にはいろいろトレーニングしたりサポートする必要がありますが

どこかで現地・現場に権限委譲しないと本当の安定は無いと思います。

 

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育成プロセス

先週の平日ですが、

今年の8月から働き始めた大学1年生アルバイトさんだけで営業しました。

育成期間1カ月の人だけで営業できている事に気が付き

「すごいなあ・・・すごいなあ、オレって!」

と、いうと

彼女たちから

「すごいのは、私たちです!」と言い返されました(笑)

 

ボケたつもりの発言に、きちんと突っ込んでくれる事も

高く評価しないといけませんね。

 

彼女らは確かに優秀な学生さんではありますが、

大学生さんとしては標準的な人たちだと思います。

 

採用すると

だいたい、5~6回、研修期間をとります。

その期間は、通常人数にプラスして彼女らに働いてもらい

先輩がマンツーマンでトレーニングします。

 

基礎的な動きができるようになってくれば、

マンツーマンをやめて、通常人数に組み込んで、on the jobで

育成しつつ働いてもらいます。質問しながらやるんです。

 

言うまでもありませんが、このマンツーマンからon the jobに移行したときは

誰と一緒に働くのか、がポイントになります。

彼女をフォローできる経験豊かな人と組み合わせないと成果が出ないし

最悪の場合、大きな失敗をしてしまって、やる気を失ったりします。

 

この期間が過ぎれば

いよいよ 新人同士を組み合わせる事になります。

「なんでも答えてくれる先輩」から切り離されて

お互い助け合わなければならない状況になります。

 

この時、一番頑張るのは 私(マネージャー)です。

知識も経験も浅い人たち相手に観察、指導しながら

お客様にいつものサービスが展開できるように神経を研ぎ澄ませておかないといけません。

 

彼女らは、私から観察されるこの期間に

・うろ覚えだったこと

・間違って認識していたこと

・知っておくべきだが知らなかったこと

等を、指摘されます。

on the jobで指摘しますので、タイミングによっては「叱られた」と感じるでしょう。

指摘するほうにも覚悟と経験が必要です。

 

こうやって、誰と組んでもそこそこできるぐらいのレベルになって

「ひとり立ち」します。

 

この一連のプロセスは

新人さんの成長具合やモチベーションをよく観察しながら、注意深く計画的に進めていく作業で、とても繊細です。この期間をうまく乗り切れば、彼女らは安心して職場に馴染み、早期に生産性が高くなるし、退職危険性も低下します。

「ひとり立ち」したあとは、その人なりに成長し貢献してくれます。

 

この繊細な育成プロセスの実行と

画一的なマニュアル主義とは相性が良くない事があります。

画一的なマニュアルは統一性は高まりますが

相手の成長や成功に合わせてフレキシブルに育成法を変える事ができません。

マニュアルに収まるくらいの情報量では本当に役に立つ人材には育ちませんし。

 

極端に言うなら

フレキシブルでハイレベルを目指すならマニュアルは邪魔になる(?)かもしれません。

 

モチベーションを高めながら

高生産性を目指し

短期で育て上げる能力を お店が持っていないと

採用を強化しても、人数は増えません。

 

マニュアルを更新したり強化したりしてもアルバイトのレベルや定着率は変わりません。長期にわたる育成全体をマネージメントする中でマニュアルの果たす役割を限定できる店長が必要なのです。

 

小さな声でいいますが

「すごいのは やっぱり オレやねん」

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原材料の値上げ対策と新メニュー

最近、お客様に好評な新メニューに

・牛たんのタタキ

・おつまみローストビーフ

・むしどり

 

があります。冷製のおつまみです。

 


めちゃめちゃ美味しそうですし、実際に美味しいです。
価格が少々お安く設定されているので、よく売れます。

 

実は、これらの新メニューの原点は「原材料の値上げ対策」なんです。

 

というのも、

牛たんやハラミなどはここのところ何度も値上げされましたが、

売れ筋メニューですから

「じゃあメニューから外すわ」とも言えない難しい食材になってしまいました。

 

牛の舌を仕入れると、上タン、並タンで売れる部位以外に

肉質のやや硬い部分やスジや筋肉の部分がついてきます。

この部分も牛タンの一部ですから同じ単価なのです。ですから同じように値上がりしました。

 

つまり、この部分を「捨てるか、売るか」

コスト構造は大きく変わってきます。

 

たくさん隠し包丁をいれて食感を柔らかくすれば

焼肉として売れる可能性もありますが、一般的にはそんなにたくさんは売れない。

 

この部分を、美味く調理して

一品料理として売る事ができれば

廃棄を回避できるだけではなく

原材量の値上がりによる損益を「利益」に変えることができます。

 

「マイナスをプラスに転じる発想と努力」

これからの飲食店に求められるスキルではないでしょうか。

っていうかどんなビジネスでも、マイナスをプラスに転じれば

一気に状況が好転します。

 

私の場合、料理の知識が豊富なほうでもありませんから

いろんなお店にいってみる事からはじめます。

 

「牛たん」を使った料理を選んで食べてみて、

これを自分で作れないかなあ?と思案します。

もし、聞けるなら、店主に作り方を聞いたりします。

 

方法は何でもいいんです

なんとか逆転できるヒントを求めて

情報収集にあたります。

 

何度も書きますが

方法は何でもいいんです。

最初のヒントは自分の中には無いのです。

 

「原材料が値上げされたから メニューの価格を上げます」

っていうのも間違いではないのですが、

「調理法を変えて、売れなかった部分を売って、メニュー価格を上げないようにしました」のほうがよりWIN-WINです。

 

逆転の発想で WIN-WIN に持ち込む

こういうアクションがいいですね。

 

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4年生さんの話から・・・

アルバイト応募者と採用にいたるまでの会話で面白いのは、

やっぱり現在のバイト先の情報です。

今週、応募してきた大学4年生の女性からいろんな話を聞きました。

 

そのお店は、

社員ではないパート主婦の人が数十人アルバイトのスケジュールを管理していて、

アルバイトの希望スケジュール(個人情報)は全部公開されていて、

キャンセルするときは自分で代わりを探さなくてはならない、

とのこと。

 

さらに

そのパートの主婦さんが早朝や深夜にLINEなどでスケジュール交渉してくるので、「無給で働いてる!?」と感じている事、

希望スケジュールが公開されているから、希望を蹴られている日が明確にわかるので主婦パートさんの好き嫌いが明確にわかってしまう事、

等を話してくれました。

 

彼女は3年以上働いているので「それが普通だ」と思っていましたが

私が、

「たとえば当店ではキャンセルするとき、代わりを探してはいけない事になっている」と言ったら、目を丸くして驚いていました。

 

私の考えは

・その日のその時間帯に働くという「労働契約」が成立したからといっても、その枠に誰を働かせるかという「権限」までが移動したのではない。したがって、働けなくなった人が勝手にその枠に他の人に入れる事はでいきない。

 

・働く日が決まれば、その日に働いて給料を得る権利がある。そして働いている時は「指示に従いお客様のために最善を尽くして働く」義務もある。また急に休まなければならない場合は速やかに経営者の連絡する義務はある。

 

・そもそも「代わりを見つけないと休めない」なんて不当労働行為に近い。体調不良を訴えている人に他人を探させるなんて非人道的。

 

・スケジュールが決まれば、その日に出勤する事は一種の義務ではあるが、これは約束と言った方が適切である。なぜなら人間生活は体調不良や用事の発生がつきもので、どんな体調になっても100%出勤させるというなら、奴隷契約と同じ。

 

・希望スケジュールを出して、それが認められてその時間帯に働けるようになるなら、それは「権利を得た」と考えるべきだ。一般的に義務を獲得したとは言わない。

 

・時間給で労働することは権利なのか義務なのか?答えは両面あると思うが、それを「どちらかというと義務だ」考える経営者と「どちらかというと権利だ」と考える経営者のスタンスの差が人道的な職場をつくるかつくれないかの差となる。

 

人道的ではない職場は常にギスギスしているし、だれかが被害を受けていると思う。

こういうことを言ってはいけないのです

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4年生採用!!

大学4年生の女性がアルバイトに応募してきました。

 

単位も心配なく、就職も決まり、自由な時間が多すぎて卒業までできるアルバイトを探していました。

 

例年、

この時期にこういう4年生が応募してきます。

こういう人は

・もともとやっているアルバイトがあるし、

・卒業までにやっておきたいレジャーや旅行の予定もあるので、

・アルバイト応募者としては「中途半端で将来性のない人」ですから

採用は難しいのです。

 

しかし、

人物としてはとても優秀なケースが多い。

・就職活動も経験していますし

・お酒の知識もついています。

・だから、育成に時間を要しません。

 

ですから、私としては、

条件を絞って、

1人ぐらいだったら採用するようにしています。

稼働日数に期待できないことは、わかっていますが

・飲食アルバイトの経験があること

・子供っぽくない事(すでに社会人の雰囲気)

・就職が決まっている事

・既存の4年生アルバイトに対して「刺激となる存在」になる事

を面接で、ゆっくり確認します。

 

とくに就職活動の経験は、若い人を飛躍的に成長させますので、

あたりまえですが応対における「1年生との差」は凄いです。

ものすごく優秀な人に見えます。

短期間でも雇ってみたいな、と思ってしまうのです。

 

ですから、しっかり確認した上で、

”助っ人外人”的な枠として採用します」と本人に伝えました。

 

彼女との会話はとても面白いです。

その中でも一番興味深いのはは、現在のバイト先の情報です。

 

すごく上手くやっておられる事は参考になるし、

愚痴は反面教師になります

 

実は、この情報が聞きたいから雇っているのかもしれません。

次回のブログでその辺のことを書きます。

 

 

1・2年生歓迎 なんですけどね。

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研修期間修了後の対応あれこれ

 

8月から入った新人さんが、今、苦しんでいます。

 

研修期間が終わって、単独で仕事するようになったら

・ドリンクの入れ方がわからない、忘れた。

・お肉の名前がわからない。

・お客様に質問された内容がわからない

 

など、「わからない地獄」に陥っています。

 

「はしか」のようなもので、そのうち解消されますので

私は心配していませんが、本人にとっては大問題です。

 

この不安感はどうやって克服されるのか?

「すべてを理解してパターンを覚えることなんかできない。」ってことに

早く気が付いた人から解消されていくようです。

 

お客様は千差万別・状況もいろいろですから、

「言ってる事をよく聞いて、自分で判断する」べきなのですが

こういう人のパターンは

言っている事をよく聞かずに、とにかく店長に指示を仰ぐ、状態です。

 

「店長!どうしたらいいですか?」と聞いてきますが

私から

「お客様から、何を聞かれたんだい?」

「君しかお客様の声を聞いてないんだから、聞かれた事を正確に伝えてもらわないとわからない。」

と逆ヅメされます。

 

要するに

「自分で判断すべきだ」

ってことに気が付くかどうかです。

 

早く気が付く人は成長も早いし、ストレスも減る。

 

なかなか、気が付かない人はいつまでも、不安そうです。

不安なので知識を増やそうとしますし、パターンを覚えようとします。

しかし全てをパターン化する事は不可能なのです。

 

そこで

普通は「判断するためには、しっかり聞いて、状況を把握す事が大切だ」と気が付くのですが

まれに

「いい加減に聞いたまま」安易な対応になってしまう人がたまにいます。

こういう人は私に何度も何度も指摘されます。

 

変な話ですが

もともと、仕事をメモしたり

真面目過ぎる人が

こういうおかしな状態になります。

自分の学習能力に過信があるのでしょう。

この状態を2年生の途中まで引きずる人もいます。

 

 

最近、私は研修期間が終わったころに

「今、不安でしょう。でもこれまで、教えられた事なんて、実戦では使えないよ。教えられた事をベースに、自分で判断しようとしたらすぐに慣れるさ。君たちの基礎的な能力でメモなんか必要ない。お客様の言っている事をよく聞いて、自分で判断するか、私に指示を仰ぐかだね。でも私に指示を仰ぐときはお客様が言ってる事を正確に伝えないといけない。」と伝えています。

 

ほとんどの人は仕事に慣れて、自己判断できるようになり、間違わなくなります。

 

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最低時給の引き上げ

兵庫県の最低時給が10月1日から 1052円になります。

前年より51円UPです。

都道府県でも、10月からいくらになるのかが公表されているはずです。

 

衝撃です。

 

私のお店では、募集時給をすでに1052円以上に設定していますので、バタバタはしませんが、募集時給が1052円未満のお店は今から1カ月で引き上げないといけません。既存アルバイトさんの時給にも影響しますので、これはとてもナーバスな作業です。

 

最低賃金はこの2年間で92円あがっています。

2年前は960円だったので、現場では10%以上あがっているでしょう

。売上げの15~25%位を占めるとおもわれるアルバイト代が10%上がると、お店の利益%が1.5~2.5%減少します。 

(利益%ですよ!)

10%の利益が出ていたお店では、悪くすると7.5%になるわけです。25%減です。

 

「給料が2年で25%減る」

 

と考えたら、これがいかにヤバい事なのかわかるでしょう。

 

2年前と全く同じ売価・コスト構造で営業し続けていたら、サラリーマンで言う

「25%減給」の状態になるのです。

 

ましてや電気ガス水道のコストも上がっていますので、本当はもっと減ります。

 

では、何をどうするのか?

これについては個々の経営判断なので、正解はひとつではありません。

・現在の時給が何円なのか?、

・スタッフの過不足はどうなのか?

・客単価はいくらなのか?

など、お店によって条件が変わりますので

まず、「今、お店はどんな状態なのか」を正しく分析把握することが先です。

 

原則としては

何かを変えれなければ倒れる

これは正しい見解でしょう。

しかし、これ以外は何が正解なのかがわかりません。

 

とにかく、

論理的に考え、

経験からくるカンのようなものも加味し、

信頼できる友人と相談し

勇気をもってなにかを実行するべきときが来ています。

 

手前味噌ですが

私は、2024年1月にアルバイト募集時給を大幅に上げました。過去最大の上げ幅でした。

「どうせ2024年10月には最低時給が大幅に上がるので、それに追い越されない募集時給にしておこう」という方針でした。

後手に回らない事を優先したのです。

 

そこから8カ月で感じている事は

時給を攻撃的に上げると、

応募もある程度増えるが、

それよりも応募者の質が圧倒的に高まった、ということです。

 

小さなお店ですから知名度も低いので

応募数の増加は2倍とか3倍とかにはなりません。

っていうか、

採用数は増やさないので、そんなにたくさんの応募は要りません。

 

しかし、募集時給を充分に高める事によって

応募してくる人の「素質と条件」は圧倒的に上がりました。

これは2倍とか3倍とか定量的な表現はできませんが

私の感覚でいうなら 

10倍良い人を雇えた

といえます。

 

勇気をもって、前倒しで行動してよかったとつくづく思っています。

 

ps

なにも時給を1500円とか2000円とかにする話をしているわけではありません。

「100円あげたら10倍良い人が来たから、500円あげたら50倍良い人が来るんちゃうか?」という考えは、間違っているとおもいます(笑)やったことないけど・・

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