「イノベーション」という言葉が使われる事があります。
革新または技術革新という意味のようです。
今までになかった新しい仕組みを取り入れる事で大きな影響をもたらす事です。
先日も書きましたが、回転すしのお店に「特急ライン」を付けることは確かに技術革新です。
では、特急ラインがあるから、1日中お寿司を廻さないのはイノベーションでしょうか?
また、特急ラインが設置されていないお店でタッチパネルオーダーだけにして1日中お寿司を廻さないのはイノベーションでしょうか?
先日ネットに、あるファーストフードのモバイルオーダーに関する記事が出ていました。客席に座ったままオーダーできるモバイルオーダーがあればカウンターに並ばなくてすむし、「順番をごぼう抜き」できるので素晴らしいシステムだと書いています。
本当に、そうなのでしょうか。モバイルオーダーはイノベーションなのでしょうか?
「ごぼう抜き」されている人達も大切なお客様なのではないでしょうか。列に並ぶ時間が長いのは店舗(企業)の責任ではないのでしょうか。
そもそも、客席に座ったままでオーダーし,従業員さんが持ってきて来てくれるのは、普通のレストランでやっているサービスです。創業時に「セルフサービス」という概念を打ち出したファーストフードが50年以上経って「普通のサービス」になったというだけの事に見えます。
回転すしを廻さなくなって、全部オーダーされてから握るんだったら、これまた「普通のすし屋」です。
自分たちは、どういう経緯でいままでの成長を成し遂げてきたのかを軽んじ、
抜本的な改革をしたように謳いながら、実は発想が「後退」しているだけなんじゃないかな。
誤解の無いように言いますが、私は回転すしもファーストフードも大好きです。今でもよく利用します。
ですから敢えて言いますが、顧客は絶対に見透かしていますよ。
だからモバイルオーダーが主流にならないのです。お客様がカウンターで買いたい理由はたくさんあるのです。
それを知らない評論家に、カウンターで買う人は「馬鹿者」であるかのような記事を書かれています。
店長さんは怒らないのですか?
偽りのイノベーションや顧客への不公平な取り扱いは滑稽でさえあります。
私は、いろんな業種が売上げや利益を求めてチャレンジしていくことは良い事だと思います。しかし同じようなアクションでも、その商売にフィットするものとそうでないものがある。その基本的な判断基準は
「自分たちが何者なのか」
「お客様から何を期待されているのか」
「そのアクションは人道的に正しいのか」とかだと思います。
正しい変革をイノベーションと呼んでほしい。
そうでない変化は 「後退」か「失策」でしょう。
偽物です