飲食店長のブログ ~ 人材戦略の実践レポート

実際に飲食店を経営しながら、そのノウハウを突き詰める

人手不足の本当の意味と実態(その3)対策編

人手不足の「判断タイミング」と「算定術」について過去2話にわたって書きました。

無策状態のまま人手不足が続けば、当然ビジネスが「崩壊」することも説明しました。

崩壊とは実際にシフトが埋まらないからお客様を逃した、とか、

著しい店舗レベルの低下とか、

忙しくもないのに過度な社員の残業が起こっている状態です。

 

今回は「では、人手不足からの崩壊に対してどう対応するべきか」を書きます。

 

一番最初に確認・定義しておきたい事は

「人手不足」の段階と「崩壊」の段階は切り分けて考えるべき という事です。

 

人間の健康管理に例えると、「崩壊」とは 発病や出血が起こっている状態です。ですから「人手不足」はその前段階の状態ですね。

 

人間が発病したり出血が止まらなくなったら、通常の活動を取りやめて、入院したり手術したりします。治療に専念し、薬を飲み、食事も中止するか病院食に変えるでしょう。そうしないと病気やケガが治らないからです。この状態の人に、ハイカロリーな食事を与え、体を鍛えるための運動を強要したらどうなるでしょうか。

さらに病状が悪化し、最悪の場合死に至るでしょう。

お店が崩壊している状態とは、「人間が入院して治療を必要としている状態」と同じです。

で、

人の採用という作業はお店に手間を生みます。

新人を育成している期間はまさしくお店全体に負荷がかかります。

レーニングという負荷をこなす事によって普通のお店は強靭になりますが、それができないから崩壊しているともいえます。

早期退職が起こると全ての負荷は無駄になり、疲労感だけが残ります。

崩壊してしまった店舗にとって、新人採用が解決策になる事はありません。負荷がこなせないからです。

 

つまり、崩壊段階にあるお店が新しい人を採用するというのは、病人に脂っこい食事を食べさせて、無理やり筋力トレーニングをさせるようなものだ、という事です。こんなことしたら、さらに体調不良に陥ります。もっと重度な病気になるかもしれません。

 

病気になったらまず休んで、正しい手順での「検査」が必要です。検査結果をもとに病名を特定し、治療方針を決定しますよね。

 

同じく、

お店が崩壊したら、まずその原因を突き止めて改善策を決めます。

人が足りなくなる原因は、退職者の発生か休職者の増加か、売上げの急上昇なのかを判断し、その理由も突き止めて、一過性の事なのか、これからも続くのか等検討すべきことがたくさんあります。

 

繰り返し言いますが、崩壊店舗にとっては、新人採用が解決策になる事はないのです。崩壊したらいったん採用活動を止めて、原因と対策を決めないといけません。

原因は千差万別で対策も多種多様ですが、正しく対策すれば治ります。

 

しかしながら、昨今は「人手不足にお悩みのお店に‥」というセールストークで、採用サイト・スキマバイトの広告だらけです。

 

こんな世の中でいいのでしょうか。

 

「判断タイミング」「算定術」を正しく使って、将来に起こる(かもしれない)人手不足を回避する対策が「新規採用」です。

 

私のお店では大学生を採用しているので4年周期で考えています。もし1年生の採用と育成に失敗したら4年後に深刻な崩壊が起こる可能性がありますが、3年間にわたって対策できますので、心配はしていません。これがお店の「健康管理」です。

お店が健康で体力があるので、1カ月間に3人の人を採用しても早期退職にはつながらず戦力化できていますが。普通のお店はできないし、しないほうがいいです。

 

新規採用は「治療薬」ではありません。充分なカロリーのある食事のようなものです。消化能力が無くなってしまった人にとっては「毒」でしかない。

 

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