飲食店長のブログ ~ 人材戦略の実践レポート

実際に飲食店を経営しながら、そのノウハウを突き詰める

隠語の危険性「バイトが飛ぶ」

「バイトが飛ぶ」という表現があります。

 

「アルバイトさんが無断で仕事に来ないで、そのまま辞めてしまう」ときに使われます。バイトをする側も「飛んでやった」という感じで使いますし、バイトを雇う側では「飛ばれた」「飛びやがった」と使います。同意語は「ばっくれる」になるそうです。

 

「飛ぶ」も「ばっくれる」も好きではない表現なので、私は使ったことがありません。

 

私のお店は9年目になりますが「飛ばれた」事はありません。

 

無断欠勤、無断退職を表す「スラング」「隠語」のようなものだと感じています。隠語とは「特定の仲間、階層の間だけで通じるように仕立てた言葉」です。

バイトが飛ぶ理由ではありませんが、辞めたくなる理由のトップは「人間関係」だ、との調査データがあります。

「人間関係が悪いから辞めたい」とはいいにくいでしょうから、ついつい無断キャンセルから退職してしまうって流れも理解できます。

仮に「うっかり」無断キャンセルしてしまったとき・・・辞めたくないバイトだったら必死にあやまるでしょう。でも人間関係の悪いバイトだったら「もういいや」と思ってそのまま飛びます。

 

バイトが飛ぶ原因は「休みたい」とか「辞めたいとか」言っても、正常に扱ってもらえない、とか、イヤな思いをするかもしれない、とかの悪い雰囲気があることでしょう。逆に、採用したアルバイトさん自身の問題に気が付かなかったということもある思われます。

 

つまり職場か採用基準に問題があるのです。

経営者にとって、愉快な話ではありません。

 

しかしスキマバイトさんの広告は、とても愉快に「バイトが飛んだら・・」とうたっています。




 

「ちょっとひどいなあ」と思いました。

 

当日無断欠勤したアルバイトさんの気持ちや環境を考え直す事が大切なのに・・・笑い飛ばしたり、「みんなそうだから」、みたいな方向性に思考をもっていくのは危険です。笑いに変えず原因と対策を考えるべきなのに、「スキマバイトで埋めればいいじゃないか」と思い込むのは危険すぎる。

 

そもそも、当日欠勤の穴は「面接無し」のスキマバイトでは埋まらないでしょう。「面接無し」のメンバーで埋まるなら、補充する必要が本当にあるのか?も考えたほうがいいでしょうね。

 

こうやって考えていくと、この広告は

隠語を使うことによって「飛ばれた店長」の親近感を獲得して、根本原因への取り組みから目を背けさせようとしている。としか思えません。

 

店長がアルバイトに「飛ばれた事」を笑い飛ばしたり、不可抗力と考えてしまったら、お店は破滅します。間違いないです。危ないですから気を付けてください。

 

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