飲食店長のブログ ~ 人材戦略の実践レポート

実際に飲食店を経営しながら、そのノウハウを突き詰める

バイトからの昇格に潜む課題

飲食店におけるアルバイトからの社員登用って

一見素晴らしい成果に見えますが、実際は重大な問題点をはらんでいます。

私の知る限りにおいては、

アルバイトから社員登用された人で早期に出世する人はごくわずかです。たしかにわずかですがいます。

しかし、ほとんどの人は伸び悩み、アルバイト経験のない人より昇進ペースが遅い人もめずらしくありません。

 

こういう事実は皆さんご存じなのでしょうか。

 

本来、アルバイトからの入社なのですから作業についてよく知っているはずです。したがって育成期間が短縮され、早期昇格が見込めるはずですが、実際はそうではないのです。

理由はいろいろ考えられますし個人によって違いますが、一番の原因は

「立場の違いが理解できていない」ことです。

 

アルバイトを「する側」と「使う側」では立場が正反対です。アルバイトから社員になるということは、これまでタッチしていなかった仕事に就いた事になるのです。「バイトリーダー」的な仕事に就いていたとしてもバイトはバイトです。

 

自分がアルバイトの延長ではなく「管理者」になった事を自覚すれば「アルバイトしていたこと」は大きなプラスになるかもしれませんが、同じお店で社員になったりしたら、友だちも多いので、そんなに急に変化できません。一線を引く事は難しい。

 

反対に、全然違う環境から入社してきた人は、最初から「管理者はどうふるまうべきか」を意識しやすいし、アルバイトさんとの間には一線が引かれますので、なれ合いにもなりません。(無理してなれ合おうとする人はダメダメですけどね)

 

こういうことはほとんど理解されていませんし、理解させようと話してもなかなか理解してくれません。

 

結果、管理者としての基本的な事さえ実践できずに「あんなに長くアルバイトしていた経験があるのに・・・・」とあきれられて、厳しい立場になります。

「アルバイトと社員は違う仕事なのだ」とだけわかってくれていれば人生もかわっただろうに・・と思わせる新人をこれまでたくさん見ました。そういう立場にいる人は、よく考えてほしいと思います。

 

タイミーさんがスキマバイトから社員登用するシステムを売り出したようですが、上記のようなリスクもある事を知ってほしいです。

アルバイト出身の社員を育成することは、アルバイト経験のない社員を育成することよりも難しいのです。最初の意識づけが大きな差になります。

「社員になれてよかった」と思っている人はほとんどダメで、「こんな社員たちを一気に抜いて上役になってやる」と野心に燃えている人は成功するでしょう。でもそんな人はどこでも成功しますけどね・・・・

 

 

👇よかったら ぽちっとしてください。