飲食店長のブログ ~ 人材戦略の実践レポート

実際に飲食店を経営しながら、そのノウハウを突き詰める

1年で一番大切な日は   昨日でした



今週のお題「〇〇からの卒業」

300話目のブログです。


昨日はわが店にとって1年でいちばん大切な日でした。卒業するアルバイトさんの「追い出しコンパ」です。コロナ禍ではありますが、店舗を貸切にして、3密回避で実施しました。私は料理提供に徹し、妻は給仕に徹しました。よく考えるとこの卒業生たちと一番多くお話しできているのは私と妻です。実はアルバイト同士はそんなにコミュニケーションできていないので、昨日は最後のコミュニケーションの場を提供するだけでいいんです。

また、例年と違って、今回は春に緊急事態宣言があったので、大学1年生の働きはじめが遅く、4年生との接点が薄いんです。ですから、あんまり企画はなく、大騒ぎもなく、シンプルに食事して歓談して、贈る言葉、卒業生の言葉で終わりました。その後もたいぶおしゃべりして、充分です。

3回生のSさんは、卒業する4人すべてに、出会った時の感想を述べていました。卒業するAさんは「家に帰ってくるような感じでバイトに来ていました」と言ってました。卒業するTさんは「貧乏学生だったので、まかないが食べれるのが楽しみだった。ときどきあまったごはんをラップにくるんでもらったのが嬉しかった」と言ってました。

「大学生の期間、親より合う機会が多い」人が私と妻ですが、そんなこと意識せずに付き合っています。これからも意識しないで付き合います。

今回、卒業生にはオリジナルパーカーを贈りました「THANK YOU FOR YOUR CONTRIBYUTION」とプリントしておきました。「あなたの貢献に感謝します」・・まさにその通りです。


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4年間の間には経営のピンチになるような事がいくつもありました。今回のコロナもそうです。瀕死な状態になっているときに「この店で働きたい」と言ってくれる人の存在にどれだけ助けられたか、と強く思う。

苦しい状況だが、社会で成功してほしい。そう願います。




時短しなかった会社もありました。  いろいろ検証してほしい。

東京で飲食店を数十店経営している会社が、時短営業の要請を拒絶して営業し続けているニュースが入ってきました。この会社の社長曰く「要請なのだから受諾するかどうかの判断は任意のハズ」「極限まで借金した」「社員を守れない」「要請が命令に変われば時短する」と言っています。社長はこういう意見にプラスして、東京都のやり方や取り組みに対する批判を「弁明書」に書いて都に提出しましたが、結局「命令書」が出ました。だから時短するのでしょう。命令書には弁明書に関して「正当な理由にあたらない」とだけ書いてありました。この命令書もネットで公開されています。

誰が正しいかを論じる気はないですがいくつかの疑問と希望を書きます。

まず、疑問は

「この会社の経営がきびしい理由はコロナだけなのだろうか」

「社員の給料をカバーするために雇用調整助成金等の制度は使えないのだろうか」

「『経営が成り立たない』は要請拒否の理由にならないのか」

私の店舗の隣のお店は3月に閉店しました。そのときのブログにも書きましたが、閉店に至るまで、いくつかの致命的な経営判断ミスがあったように思います。もしそういう事があるなら要請拒否は私的な理由によるものと思われます。

だから、希望として

議論は公開していただいて、東京都も、「経営が苦しいのはあなたの責任だ」と言う論理を示してほしいと思いました。私は政府の方針に納得しているわけではありませんが、時短協力金や雇用安定助成金、家賃補助給付金とか、できる限りの救済制度のお世話になっています。自分でも変化に最大限反応していますが、事業継続できていることに感謝しています。

しかし、事業規模によっては公的な協力金が足りず、変化への対応に失敗し、経営破綻してしまうお店があることも理解できます。私がその立場でしたら、罰則金払って助かるために手段を選ばないかもしれない、とも思います。

ですから、これは裁判になって、お互いの意見を公開してほしいのですが、この会社にはそんな事する資金はないでしょうから、答えは「闇の中」。しかも21日で宣言解除になる方向で進んでいるようです。

解除直前に「命令書」って、なんかポーズだなあ、とも思いますね。

とにかく、すべてを検証してほしいです。

 

 

営業時間自粛解除後    1週間が経ちまして・・・

3月8日に時短要請解除となってから久しぶりに夜11時ラストオーダーの営業となりました。ちょっと疲れました。8時閉店って楽やったんです。しかし、ラクしてたら儲からないので11時まで営業しています。平日、お客様はまだすくないですね。反面、土日はファミリー客でいっぱいになりました。

客層の変化が著しい、、、、。サラリーマンの宴会、飲み会=皆無、学生のゼミ、サークル等の公式宴会=皆無、女子会=皆無、同窓会、二次会=皆無、競馬観戦後の食事=皆無です。ご家族での会食=増加、ご夫婦やカップルでのご利用=増加。つまりカップルとファミリーが頼みの綱!。こんな状況ですと、メニューが幅広く売れます。お子様からご老人までご来店されますので嗜好の幅が広がるからです。したがってメニューの総数はふやすほうがいいですね。ご家族連れはそんなに急いで食事されません。ゆったりしています。

反対に、企業の宴会や競馬帰りのお客様とかが多いと、一気に混雑しますので、どうしてもスピードメニューが必要となりますし、嗜好の幅も狭くなるので、調理に時間のかかるメニューは外していくことになります。仁川駅前の競馬場帰りの動線にある焼き鳥屋さんは競馬期間はメニューを最少に絞ってます。たしか「焼き鳥セット」1種類だけにしてたと思います。甲子園球場近くのおでん屋さんもそんな感じでした。

メニューバラエティは店舗運営の根幹です。少なければ売上げは伸びない。しかしオペレーションやお客様の待ち時間やフードコストに悪影響を出すほど増やしては意味がありません。客層の変化を把握して、細かーく変化させていこうと思います。世の中、美味しいもんはいっぱいあるしね。 

 

他店ですが、退職理由にあぜんとする

アルバイトのMさんは喫茶店でも働いていますが、その店を退職するようです。退職理由は、4月から対面授業が再開するので、学校がいそがしくなるから、です。でもウラの理由は、オーナーがスケジュールを事前に決めない人だから、だそうです。出勤した日に「次は〇日ね」と次の出勤日を指定してくるとのこと。まさか?と思いました。多分「紙に書いたスケジュールが無い」とかオーナーがだいたい「曜日」で従業員の勤務日を割り振っていたが、退職者が多くて曜日管理が乱れたとか、そういう事ではないかと思います。

で、Mさんが退職を申し出たら、オーナ―さんの抵抗が激しくて、なかなかすんなりやめれない。オーナー側も退職者が多くて、さすがにMさんに辞められたらこまるので、あれやこれや難癖をつける。これがまた不信感を増幅してしまう。悪循環です。私もあきれてものが言えません。こういう駄々っ子みたいな経営者、ときどきいますけど、やっぱりヒトかいなくなって、商売できなくなるんですね。

私がヒヤッとしたのはMさんはウラの退職理由である「不当なスケジュールシステム」についてはオーナーには何も伝えず、「学校が忙しくなるから」という理由で押し切った、と言う事です。

退職理由の統計とかありますけど、だれが聞いたか?どういうふうに聞いたか?によって答えが変わります。あらゆる統計がそうでしょうが、特に職場の状況を言い表すには、聞く側との人間関係や、聞く技術に影響されるんじゃないかな。

統計は「正しい物」として供給されますけど、退職理由とか複雑な事柄や人間関係が絡んでくるものは単純に表せない。そもそも違う職場で働いている人の退職理由を比べても、環境が違いすぎるので比較対象はできない。そう考えたほうがいいです。

統計を参考にしたい場合、いきなり大きな数字を持ち出すのではなく、1件でもいいから自分の目で見て、耳で聞いて、確信をもって見る事をお勧めします。そうすると数字の見方も変わってきます。

大企業が数字を駆使して大型投資してくる脅威に対して、そのちょっとしたズレや現場感の不足を突いて、こそーっと生き抜いていこうと思いますw。。

 

 

「たぶん間違いない」って、確信?推測?

いやー、ビックリしました。東京の感染者数がまた、増えてきた事に対して分科会・会長曰く

「アクティブなシニアがカラオケに行ってるような、高齢者と同時に若者の人も、実は、また元の生活に戻って、(下げ止まりの)1つの要因になっていることは、たぶん間違いないと思う」

アクティブなシニアって新語?とか思いましたが、それは今回は置いておきます。

で、 

この人、よく「たぶん間違いないと思う」って言うんだけど、根拠あるんかなあ。無いやろなあ。

だいたい「たぶん間違いない」って、ことばとして、曖昧。「推測である」と「確信である」を同時に発信しているが、つまり推測です。紛らわしい。学者が推測を確信のように語る事は罪だと思います。皆が事実のように騙されるからです。「偽札は本物に近いほど罪が重い」と、いう人もいます。

 

学者なんだから、東京に何ヵ所カラオケ喫茶があって、毎日何人くらい利用してて、どれくらい増えてるか、とか、数字で言って欲しい。それが無理ならせめてじぶんの足でカラオケ屋を10店舗くらい訪問して、目で確認したらどうでしょう。

 

そりゃ年寄りが集まってカラオケしたら危険でしょう。みんなにそれは伝わるとは思いますが、どれくらいの規模、件数があるのか、解明してから話するのが、専門家。そうでないと、みんな、どれくらいの緊張が必要かわからない。

 

飲食店が感染源だという説も、こんな感じで「たぶん間違いないと思う」が根拠になってるんです。学者だったら、特定地域で全飲食店のうち、何パーセントのお店で感染しているのか、発表してほしい。

 

根拠の無い説は、ファンタジーであり、おときばなし、悪く言うとウソですな。

頼むから、発言に注意してください。偉い人だから。「たぶん間違いない」は間違った日本語です。

 

 

質の高いサービスを引き出したい

今は亡き野村克也さんが、ヤクルト監督時代のエピソードとして聞くに、

ID野球を推奨する彼は毎日ミーティングで野球の戦術やプロ野球選手の生き方を座学として教え込んでいたのだが、いざ現場での指揮となると選手の「感性」を重視し、細かいサインで選手を縛る事はなかった、とのこと。

そりゃそーですよね、現場でいちいち指図せんでいいように普段の育成に力を注ぐんですから。現場で細かい指示をせんといかんような選手では勝てない。質の高い育成こそが勝つための条件、、、、。賢くて謙虚なリーダー像です。過信したリーダーは、自分の思う通りに動く選手を作って、完全にリモートコントロールしようとする。でも、野村監督はそうではなかった。選手と話し合った。だから彼のチームでは他所で通用しなくなった選手が何人もカムバックしています。これが「野村再生工場」といわれる所以。

飲食店においてもサービスを実行するのはひとりひとりの従業員ですから、常に店主とコミュニケーションして、次にどんなアプローチをすればお客様が喜んで、お店が盛り上がるかをいっしょに考えるようにしたい。こちらの企画したサービスを順番に繰り出すような指導では「感性」は育たない。お客さんと向き合って、観察して、次に行う行動を選び、アドリブが効いてて不快じゃないって、いいよね。

 

感染症と向き合う」っていう言葉が使われています。ウイルスですから簡単には絶滅できないとみんな思っているからですね。向き合って、観察して、どう付き合うかを地域や個人で判断するって方向性がレベル高いんじゃないかな。そういう意味で「3密」は、個人の感性を強化する(本質的)情報だな、と思っていました。しかし「マスク会食」とか知事による「我慢してください」とか「都民は意識しているのかしら?」という発言からは、質の高いリーダー像は見えませんな。

質の高い行動を生むには良質なコミュニケーションが必要です。

 

 

 

昭和レトロについて考えました

たまに取材インタビューで、店舗内装のコンセプトを聞かれると、「昭和レトロ」と答えてます。

この「昭和レトロ」内装の醸し出す意味は何か?を考え込んでみました。


内装についてはこんな感じですかね

古い、懐かしい

感じが良い、落ち着く、暗い

やさしい

何か、こだわりがある

変わり者の店長がいそう

高級感がない、庶民的


内装のイメージが発展して、味やサービスにも印象がでてます。


懐かしい味

美味しいけど、安い

優しいサービス、画一的でない

しんみり飲める

適度な賑わい、うるさくない。

人の温もり


あれ?

これらの要素は「ニューノーマル」と正反対じゃないのか?

入口で体温計をあてられ、アクリル板に囲まれ、タッチパネル駆使で非接触なサービスを受ける、、、、

これはレトロでは無い。


私達のようなお店は、希少になるのかもしれません。

たまには、自分のお店のコンセプトを考える時間も必要だわ。