飲食店長のブログ ~ 人材戦略の実践レポート

実際に飲食店を経営しながら、そのノウハウを突き詰める

飲食店営業は慢性的過重労働なのか ⑤

【プロ店長】

人が本当に足りなくなれば、論理的には営業時間を減らす事が最も合理的な対策です。でも、それはなかなかできない。

 

そもそも、飲食店は多くの場合、運営戦略について合理的・論理的な判断ができていません。

 

考えてみてください。

飲食店をオープンさせるとき、以下の事については入念に準備します。

・メニュー

・内外装、建築デザイン

・宣伝、マーケティング

・資金繰り 収支計画

 

プロの料理人・プロの設計士・マーケッター・の手を借りて銀行さんに5年計画とか作ったり、提出したりすることもあります。

メニューなら調理人コック経験の長い人、1級建築士MBA取得者、銀行員さんなどは皆、その道のプロです。彼らは専門の学校を出たり、資格を得て、プロとして認定されています。

 

じゃ、開店後、どうやって総合的に運営するのか、責任を持てる資格をもったプロはいません。

どんな人を集めてどんなシフト管理で運営するのか、採用した人が育つまでの過程や、組織活性化策、時給対応。日々のこまごまとした事は、すべて店長任せです。

 

料理のプロだからお店を開ける人はたくさんいますが、人事のプロだから飲食店をやると言われれば、みなさんは違和感を感じませんか。

 

では、店長は何年育成して、何ができれば「プロ」なのでしょうか。それがありません。

大学に「店長学」なんちゅう講座も学部もありません。

料理のプロであっても、店長としてプロではありません。

 

「店長とは何か」「何をする人か」について具体的・倫理的な定義が無いのです。オーナーだから即「店長」に値するとは限りません。

 

 

 

たしかに

「この人はプロフェッショナルな店長だな」と思わせる人もいます。

 

 

しかし、おおくの店長さんは「店長としてアマチュア」なのではないでしょうか。飲食店だけでなく、他の業種をみてもそうだと思います。

 

なぜなら、お店ができたから店長を置いた、のであって、店長が育ったからお店を開店した、のではない。経験を積んだり、実績を確認したりする前に「店長」にしてしまったり、他に人がいないから、とかだからです。

とにかく、この世に中に「店長」が多すぎます。販売拠点である「お店」を作りすぎるからです。需要と供給のバランスが悪いのです。

企業によってはそこそこ店長の育成をしているところもあるでしょうが、その基準はまちまちで必要性に左右されます。

 

本当のプロ店長は自分が店長として責任のあるお店がどうすればよくなるのか1~3年計画を持っています。計画に基づいて実行し、出来た事とできなかった事を精査して、リプランしてビジネスゴールに近づけていくのです。

 

しかし、飲食店には、売れていても、運営がうまくいってない店長が多いです。店長がプロの領域に達していないからです。

 

店長が運営の失敗をくりかえすと、極度の人不足に陥ったり、慢性的に残業を必要とする環境になります。

 

そういう意味では「慢性的過重労働」を引き起こす業界だ、と言えます。

 

原因は環境ではなく、「店長育成のプロセス」にあるのです。この問題が解決しない限り、飲食店は慢性的な過重労働引き起こす危険の高い場所です。

  ⑥へ続く