「森永ラブ」と聞いて 往年の「ファーストフードチェーン店」と答えられる人は少ないでしょう。
1970年代には有象無象のファーストフードチェーン店が開業しました。明治とか森永とか、お菓子の会社がこぞってハンバーガー屋さんのはじめていました。
それから約50年経って、今、全国チェーンとして残っているのはマクドナルドさんとKFCさん、ミスドさんモスバーガーさんぐらいですね。(かろうじて存在しているのがロッテリアさんとドムドムさんですかね)バーガーキングさんはもっと後からに上陸(第2次)しています。
そんな事を思い起こさせる記事がありました。
30年以上前に私が勤務していたお店の近くに「森永ラブ」さんがありました。
入社して1年くらいの駆け出し社員だった私は、森永ラブさんを利用して「楽(
ラク)そうやなあ」と思ったものです。
当時の私の会社のやり方は・・
ハンバーガーを製造したら温かいトランスファービンに置いておき、10分経過すれば廃棄するルールでした。(ホールディングタイムといいます)
私の会社はこのルールを厳守させていました。
ですから
廃棄も多いし、お客様をお待たせする事もありました。
でも、
実際に守っていなかった社員が厳しい処分をされる光景もみましたので、私はかたくなにこのホールディングタイムを守っていました。
しかし、森永ラブさんは何分たっても廃棄しません。タイムカードのようなものはありますので、ルールはあるのでしょうが全く守ってないのです。
私も森永ラブさんで食事を何度かしましたが、アツアツではなく、なんとか食べられるくらいの温度でした。
若造かつ外食勤務1年未満と経験の浅い私は
「これでええんちゃうんか」
と思ってしまいました。
上司のスーパーバイザーと面談したとき、
愚かにも私は
「森永ラブさんみたいに、廃棄なんかしなくてもいいんじゃないですか。それのほうが運営がラクだし、従業員も少なくて済みますよ」みたいな事を言いました。
上司は少し時間をおいて
「そのうちわかるよ。だから今はしっかり時間を守ってくれ」といっただけでした。
私も、自説にこだわったわけではないので、そのまましっかりホールディングタイムを守りつづけました。
5年位経って気が付いたのですが、
私の会社の売上げや店舗数は入社時の2倍以上になっていました。
しかし、森永ラブさんは縮小していました。
「そういうことか」
私はあらためてその意味を理解し、当時の上司に感謝しました。
会社全体が、お客様に美味しいものを提供する事を追求して、その前提でサービスを組み上げていき、決して妥協しない姿勢を示し続けることで、ほんの数年間ですがこんなに成長曲線に差がでてしまうのだ。
飲食店は「味とサービスそして清潔さ」で成り立っていて、
それをバカにしたり舐めたりしたら成長はない、という事を身で学びましたし今も確信しています。
もう、森永ラブさんは完全になくなってしまったようです。
この思い出は「システムではなく、それを守ろうとする人たちの能力やモチベーションによって、会社が成長するか?衰退するか?が決まる」ことを最初に意識した瞬間です。
外食産業は今、新しいシステム導入ばっかりしていますが、
実際に運用している人たちは、その意味を理解して意気に感じているのでしょうか。
私には、理解し確信をもった上司がいました。ラッキーだったと思います。
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