飲食店長のブログ ~ 人材戦略の実践レポート

実際に飲食店を経営しながら、そのノウハウを突き詰める

職場の動かし方【習慣かルールか】

手前味噌な話ですが

 

当店にはこれといって規則やルールを明文化したものがありません。これには狙いがあって、規則・ルール・システムは時によって「弊害」をもたらすという考えからです。

よく考えてください。守られないケースがあるから規則が必要なのです。全員が例外なく100%守れる事は規則ではなく「習慣」です。私の店は店長の目が行き届くお店ですから、動き方のルールを規則ではなくすべて習慣化してしまう事を狙いました。習慣だから新人は覚えたり学んだりするのではなく「慣れる」ことが仕事になります。トレーニングという概念は弱まり「面倒を見る」という概念に変わります。教え方がソフトになります。でも、みんなが同じような動きをしないと上手くいきません。だから、「仲良くなる」事が一番重要になります。仲良くなれば習慣は伝播するからです。教える者と教えられる者といった主従関係ではなく、フラットな仲間関係で働けるので、離職が減ると考えました。

 

完璧なトレーニングシステムとして明文化されたマニュアルを持つ事はいい事とされていますが、書き替えが遅れたり、硬直したりすると運営の弊害になりますし、お店の中にヒエラルキ-を作る要素になることもあります。特にサービス面については弊害が多くなります。なぜならお客様が良いサービスを受けたと感じる要素は人によって違うからです。

 

習慣化作戦にも欠点があります。時間がかかることです。文章がありませんから、混乱したりもします。


過去、店長が望まない習慣が出来上がりそうになる時がありました。私はこのことをやめてもらうために、ひとりひとり理由を説明して変えてもらいました。理由も皆が納得するもでなければなりません。今はだいたい自分が納得できる習慣化された動きでお店が運営できているのでストレスは無いです。

新人さんは少し躊躇しますが、習慣だから「何回同じことを確認してもいいんだよ、本当は決まってることじゃないから」といって新人さんご自身から確認したり質問したりする関係が構築されます。店長の仕事は新人が質問しやすい雰囲気にすること、納得いってないような人には なぜその動きになっているのかの理由をお話しすると効果があります。「ちゃんとマニュアル読んだか?」とか言われないし「こないだ言っただろ」は禁句です。

 

良い習慣を構築するのはとても大変です。すでにある習慣を変える事はもっと大変です。なぜ変えるのか、どんな効果があるのか、道理にかなっているのか、本当の納得があるか、さらに、尊敬する人から言われる、などの動機も必要です。恐怖感や煽りで習慣的行動を変えさせるなんてことは非人道的だし、無理ですね。

 

 

「新しい生活習慣」はどうかな