飲食店長のブログ ~ 人材戦略の実践レポート

実際に飲食店を経営しながら、そのノウハウを突き詰める

人手不足で来月のスケジュールが作成できない人は読んでください

「観測気球」という言葉があります。

 

新人のT君は、まだ働き始めて1か月。厨房で働いています。7月の勤務可能な日を提出していただいたところ、土日のほとんどが勤務不可能でした。

「平日はシフトが1つしかなく、土日は2つシフトがあります。土日が忙しかったら仕方ないけど。このままでは1か月、全く働けなくなる恐れがありますよ」と 7月のスケジュール作成前に口頭で伝えたところ、ほとんどの土日が勤務可能となって再提出してきました。

つまり、彼は私に対して「土日が勤務不可能と出せば、お店はどう出てきますか?」という「観測気球」上げてきたのです。おそらく彼の友人の中に「飲食店の土日は人手不足だから、最初からスケジュール出さなくても、あとから交渉してくるで」とか、言う人がいたのかもしれませんね。

こういうスケジュール交渉をしてくる人は常にいます。私はこういう態度に対する対応については「海千山千」(言葉悪いけど)です。

原則的に、

その人が有望な場合は、「入れなくなるよ」と警告して様子を見ます。

その人に未練が無い場合は、何も言わずに、土日を全部お休みにします。

さらに平日は土日に働けるからこそ働けるのが原則ですから、働く日数は激減するでしょう。常にこういう事態を予測して、充分な人数を確保していますので、こういった「ゆさぶり」を私に向かって行うことは、無駄かつ無謀です。

従業員全員を揺さぶられると、さすがに店長は困ってしまうでしょう。

普通の店長さんは希望スケジュールが集まってないのに店舗スケジュールを作ってしまい、土日のピークタイムに人不足が発生している事をアルバイト全員に知らせてしまう「愚行」にでます。

ここはガマンして、いないラインが無いようにしてから発表したほうがいいのですが、心理的なストレスに耐えれないのかもしれませんね。このあたり、経験がものをいう世界です。

 

ひとつ、とっておきの技術を明かしますと、従業員のうち何人か、ほとんどヒマな状態の人を2人確保しておきます。そうすれば、人手不足のお店でも、へんなゆさぶりで困る事もないです。

細かい対処の方法は、現場の条件によりますが、この「戦い」に勝たないと、何人採用しても、スケジュールは安定しません。経験上のHOW です。

 

今回、「オリンピック会場で飲酒をみとめようか」という動きに対して、大反対が出て禁酒になりましたが、その陰で「無観客でやるべきだ」という意見はもう議論されず、「観客を入れる」ことが既成事実になった、との論評がありました。この場合「お酒をのめるようにしよう」が観測気球であったのです。観測気球にしてやられた感じですね。やったりやられたりですね。