飲食店長のブログ ~ 人材戦略の実践レポート

実際に飲食店を経営しながら、そのノウハウを突き詰める

飲食業営業は慢性的過重労働なのか ③

【超過勤務と過重労働の本質的違い】

 

通常、普通に営業できているお店が就業員の怪我や病気などののトラブルで人手不足に陥った場合、うまく乗り切るお店と、乗り切れないお店があります。

スケジュールに急な空白が発生するのですから、残業や休日出勤の発生は避けられません。

 

仮にそれが長引いた場合でも、「過重労働」として問題や訴訟になるお店と、「一時的に残業や休日出勤があったなあ・・」として片付いてしまうお店があります。同じ超過時間数だったとしてもです。

 

ここに店長または経営者の戦略性(=姿勢)の違いが関係するわけです。

具体的に言うと、従業員が経営者の姿勢をどう評価しているのか・・です。店長への「好き嫌い」ではありません。姿勢、仕事の評価です。

 

私見ですが

■飲食店従業員の経営者評価のポイントはだいたい下記2点でしょう

1,店長に問題解決能力はあるか、と 店長に問題解決への意志はあるか

  ⇒意志があっても能力や権限が無ければ意味はありません。例えば営業時間を変更する権限がなければ能力不足、となります。

 

2,店長は日頃からスタッフに問題が起こらないような予防活動をしているか

  ⇒サービス残業の黙認、スケジュール作成遅れ、給与遅配などだらしない仕事ぶりの人は、仮に「優しい人」だったとしても信頼されません。たよりにならないからです。

また、残業代を正しく支払わないなどは言語道断です。店長業務の目的が「売上げの向上」ならば、「労働力」の質と量の管理は必須なのです。

スタッフの問題を後回しにする人はそもそも仕事の戦略や優先順位が定まっているのかどうか疑問です。

 

■さらに、超過勤務が過重労働と認識されるボーダーラインを変化させる要因は以下の2点です。(ここでいう超過勤務と過重労働のボーダーラインとは、厚生労働省が定めている時間数の基準などという野暮な話ではなく、もっと本質的、情緒的なとらえかたです。)

 

1,従業員にとっての職場の楽しさ。

  ⇒いわゆる人間関係の構築です。質の良い仲間の存在は重要です。

 

2、職場にプライドが持てているか?

  ⇒家族や友人に紹介できて、お客さんが多くて売上げが高い、美味しい、良いサービス、お客様に大切にされているお店かどうか?

 

私は若いころから外食産業で働いていますが、当時の会社は「新しい食文化の創造と拡大」をテーマに日の出の勢いでした。

超過勤務もありましたが、度を越えたものではなかったです。どんどん人を採用してどんどん育成すればどんどん売れていくので楽しくて仕方なかったです。

ですから「過重労働を訴え出よう」なんて考えなかったです。

店長になったあとも「過重労働」を訴えられた事は無かったです。

残業をさせなかったとはいいませんが、常に売上げを高めるために、長期的戦力充実を目指していました。

仕事には厳しかったですが、健康管理にも厳しかったです。良い仕事をさせるために「早く帰れ」「勝手に早く来るな」「風邪をひくな」と言って、健康管理を徹底させました。売上げのためです。

大げさに言えば、私には「我々は日本の食文化を革命してるんだ」というプライドがありましたし、従業員にも「地域の一番店」なんだというロイヤリティがあったと思います。

 

でも同じような売上げでも、部下に訴えられたり、アルバイトが大量に辞めてしまったりする店長もいました。今から思えば上記4点のバランスが悪かったのだと思われます。

 

ですから、過重労働が問題となってるのお店には 本当に過労死しそうな超過勤務が発生しているお店と、店長への信頼欠如が問題を大きくしてしまってるお店の2タイプがあるのです。

 

最初は店長判断で解決可能だったのに、アクションを間違ってしまって「火に油」になり、こじれた場合もあるでしょう。

 

飲食店の超過勤務(残業)は避けられません、それを過重労働にしないためには、いろんな要素がありますが、多くの職場や企業では、数値管理から入って、結局、数値管理しかできてないのではないのではないでしょうか

 

                      ④に続く