飲食店長のブログ ~ 人材戦略の実践レポート

実際に飲食店を経営しながら、そのノウハウを突き詰める

日本の人権感覚を   変化させる一案

アルバイトのMさんが帰り際「これ、あげます!」といって淡路島産玉ねぎベースのポテトチップを1袋くれました。なんでくれたかわからないんですが、「ああ、ありがとう。いいのかい?」と言ったら「いいんです。私、要りませんから」といって帰っていきました。おいしいポテチでしたがよく見ると定価400円もするんです。悪い事したなあ、と思いました。

二日後、Mさんをよく知る、Oさんから「店長、Mちゃんの話聞きました?」と言われました。「いや、なんにも」というとOさんが話してくれました。かねてから辞めたいのにやめさせてくれないアルバイト先に、なんとか3月末で退職する約束を取り付けた。前にもいいましたが、このバイト先は出勤したら次の出勤日を明示するシステム?なので、「次,〇〇日来てね」と言われたが、Mさんはちょうど「淡路島にいくので無理です」と言った。するとすこし怒りながらオーナーは、おみやげにタマネギのポテチを10袋買ってきて、といってきた。で、Mさんは3袋だけ買って渡して、自分用の1袋を私たちにくれたようです。このポテチ見たら思い出して腹立つからでしょうねえ。

3月末で退職が決まっているし、給料は手渡しだから、へんに機嫌をそこねて、給料がもらえなかったりしたら困るから穏便に耐えているようです。大人としては複雑ですね。私が親だったら、きちんと文句いいますし、俺が小遣いやるからもうそんなとこいくな!っていいたいなあ。

 

こういう店長さん、実際にいますわなあ。こういうことが好きな人とか、何かの腹いせとか、本質的にやってはいけないことがわかってないとか、いろんな理由があるけど、飲食店の店長ってこんな人多いよね、と思われるのは心外です。会社の上司にもこんな感じの人いるでしょう?ておもう。

学生さんが最初に経験する仕事として、圧倒的に多いのは「飲食店のアルバイト」ですから、その業界の人がコンプライアンスの知識を持って、正しい人権意識をもって運営をすれば、日本の社会も変わるかもしれませんね。

 

繁盛店ツアー

むちゃくちゃ売れている飲食店の横に全然売れてない飲食店がある事って、あるんですね。今日梅田で有名なお店に行きました。4時位にお店に着いたのですが既に満席状態。従業員もいっぱい入ってて、気合十分、お酒も安くて、あきらかに「ザ・繁盛店」。モズクの天ぷらが美味かったです。長居する感じでもないので、おなか一杯になる前にお店を出て、となりのお寿司屋さんにGO。

このお寿司屋さん、お客さんがゼロでした。隣のお店はお客さんがあふれているのに、「ゼロ」って悲惨すぎる。何が原因何かなあ、と思いながら入ってしまった。繁盛店も寿司売ってますけど、そんなに出てなかった。刺身とか天ぷらとか、ほかのメニューが美味いから。このお店は寿司だけ。隣はメニューが手書きコピー、このお店はきちんとデザインされたファミレスみたいな感じ。この寿司屋の店頭には「寿司50円から」と言う看板がありますが、入ってみると50円の寿司がどこにあるのかわからないなあ。メニューのトップに写真で掲出されてたお寿司2貫とその横に掲出されてた5貫盛を注文しました。すると、いったん注文を板前さんに伝えたあと、再度女子従業員がテーブルにやってきて5貫中の1貫が、トップに掲出されているお寿司とかぶっているそうで、「3貫になりますけどいいですか」と聞かれました。その後、「涙巻き」という辛い寿司を注文したのですが、また女子従業員あらためてやってきて「相当辛いですが大丈夫ですか」と言われました。実際に相当辛かったですけど、それが「涙巻き」やん。ていうか、そんなに気になってるんだったら、注文時にお客さんの伝えれるように、しといたらええのにな、と思いました。ホール係が再度テーブルに来るって、品切れとかの時が多くて、印象良くないなあ。

現場の板前さんは、過去に「メニューがかぶっとる」とか「涙巻きが辛すぎる」って言われたんでしょうか。気づいてるならもっと改善したらいいんとちゃうか。それが現場を預かる人の役割ですやん。この板前さんは板前さんであって、「店長」でも「大将」でもないということがわかりました。

隣の繁盛店の従業員さんは注文時に我々が迷ってると、今日のおすすめをサラッと言いました。上手いタイミングです。その従業員さんの中にあきらかに指揮をとってる男性がいました。眼光鋭くお店全体を見ながら5~6人の従業員に小声で指示を出しながら、自分は生ビールを片手で2杯づつ入れ続けています。だれが見ても彼がリーダーと分かります。商品がすこし遅いので注文が入ってるかどうか確認したら「すんません、焼き物はちょっと時間かかるんですわあ」と、即答。

何にも事実確認はできてないけど、繁盛店の店長はかっこよくて、言う事は明確、隣のお客さん「ゼロ」の板前のおじさんはパッとせんかったし、責任を与えられてない感じ。

それだけはわかりました。

外食の需要が下がって売上げのパイが小さくなりますが、各店一律に売上減少するのではなく、下るお店は徹底的に売上げを失い、繁盛店は繁盛したままってことになるんでしょうね。こわーい。

 

新戦力が動き始めた!

一昨日、開店直後親子3人組のお客様が来店されました。関学の新1年生のお嬢さんとご両親のようです。お嬢さんの下宿への引っ越しを完了させて、入学前祝のお食事です。これから新1年生が近隣にどんどん入居してくる時期です。なので、3月初めから、店頭に「アルバイト募集」ポスターを張り、サイトに募集広告の掲出を再開しました。LINE公式アカウントから応募できるようにもしています。

今のところ応募はありません。まさかと思いますが、感染騒動で飲食店で働く事自体にマイナーなイメージが発生していませんかね。この時期の新アルバイトの確保はまさに死活問題。一昨日のように「新入生」が動いている場面に遭遇するとさらに「あせり」を感じてしまいます。やるべきことはやったので、あとは待つだけなんですがね・・。

この時期で時短営業を課せられている地域は、スタッフィングを構築する面においてはハンディを背負う事になりますね。雇っても使う局面が無いのはツライと思います。兵庫県においては我が宝塚市は時短解除されていますが、隣接する西宮市は時短延長されているので、今年は年末に向かって微妙な違いがでてくるかもしれません。

最大の売上げを受けるためには、最大のスタッフ力が必要です。理論的にはスタッフィングが「先」で売上げは「後」です。だから時短解除したあと、スタッフを一気に集めておきたいのです。新1年生が動いている事が目視で確認できている今は、もっとも募集活動に力点を置く時期であることは明白。

そういう意味では特別雇用安定助成金が4月まで延長されたことは、とっても良い事です。ゴールデンウイークまでには新戦力を揃えておきたいと思っています。できると思います。

お店の動きが速くで、   多角的になってきましたよ

段階的に自粛解除になってくるので、先週より今週が売れてくる感じ。21時以降の売上げも、全然無かったのが、先週はすこし売上げが発生し、今週はもっとお客様がご来店されました。「ご夫婦」や「仲良し」で、ゆっくりと夕食とお酒を楽しむ文化が段階的に復活してきているように思います。

夜9時以降の売上獲得は久々なので、我々従業員は「不慣れ感」がありますね。9時半ごろにノーゲストになったら、これまでだったらそのまま閉店だったのですが、そこからまた複数のお客様が入ってこられて「食事のラストオーダーは11時、ドリンクは11時30分です」とか言うてるのも、久しぶりですわあ。

売上が戻って来るにしたがって、1年生の従業員の能力が急速に開発されています。これまで、ずーっとヒマだったので、1年生さんたちは「状況判断とか連携プレーとか」を気にしないで、「誰かに聞いたらわかるわ」ぐらいの感じでうまくいったのですが、今はちょいちょい激しいピークになるので、自己判断を求められる。そうすると、これまでパッとしなかった感じの人が、自主性を発揮してスイスイ動いてくれてたりします。反面、これまで「こうですか?」と、よく確認して働いてくれていた人が、質問するタイミングを失って、あたふたするシーンが多いです。あたふたしている人には「あなたはもう判断できるレベルにあるから、自分で考えてやってごらん」って言って、見守るしかないです。動きがはやくなっていますから、人材育成も早まるので、楽しみです。営業短縮期間もなんとか雇用を守って、営業し続けていてよかったです。

 

昨日、夜10時ごろ ご夫婦と思われるお客様が来ました。食事とお酒を楽しまれ、11時30分にお帰りになりました。曰く「初めて来ました。この店、気になってたんです。」聞けば、ご近所に最近引っ越してきた、とのこと。まじめそうなご主人と奥様です。21時以降の外出を控えていたんでしょうねえ。時短営業期間、毎日お店に灯りをともしていてよかったなあ、と思いました。

 

ガラス瓶がペットボトルに変わった

飲食店のコーラとかジンジャエールとかはガラスのボトルに入っているものを使っていることが多いです。1本200CCで栓抜きで開けて使い切りにするほうがより美味しさを保てるからだと思います。今年になって、ガラスボトルをペットボトルに切り替える、とメーカーが決めたようです。1本330㏄になって値段もかわらないです。良いことだと思いました。ガラスボトルの場合、ガラス瓶の回収、洗浄コストがかかるのですがペットボトルは納品するだけでボトル回収しないので負担が少なくなるので、価格も下がるようです。いいですね。

と、思っていたら、かの小泉環境大臣がコンビニでプラスチックのスプーンを無料で配布することを禁止したい、と言ってるとのこと。コンビニのスプーンより、飲食店向けのコーラがペットボトルに切り替えられることのほうがあかんのとちゃうか。

コーラのボトル切り替えは、ユーザー(飲食店)にコストのメリットを与えてますし、取扱の利便性が増しますので、皆喜んで受けいれてます。あとで「環境に良くない」とか言っても、もとには戻りませんよ。そのころにはガラス瓶がなくなってるし。

私が子供のころから親しんできたコカ・コーラなどのガラスボトルはどうやら絶滅するようです。買い物カゴを持って市場に行き、八百屋で野菜を新聞紙にくるんで売ってもらうようなシステムはもうありません。もう戻れないとも思いますが、それが環境にはベストだったんでしょうね。

でもスプーンやめんでもいいですよね。もっと効果のあるもの、ほかにいっぱいあるよ。       


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・・・・・・瓶みてふと思う。

「動き」ではなく「動き方」を理解してほしいのです。

アルバイトさんを育成するときに、ターンニングポイントみたいな時期があります。最初は「動き」を教えますよね。ビールの注ぎ方、お客様への給仕、テーブルの片付け方などの「動き」はいつか必ず覚えます。いざ、実践になれば「動き方」が問題になります。例えば、2人のホール係がいて、お客様が4組おられて、1組のお客様がお帰りになったとき、そのテーブルの片づけを1人がやり始めたらもう1人が手伝いはじめた・・・。この動き方が良くないかもしれません。なぜなら本来1人でもできる仕事を2人でしている間に、他のお客様への商品が上がって来たり、注文が来たりするので、1人はフリー、1人は業務中という状態がベストだからです。

でも他にお客様がいない状況ならば、手伝ってあげたほうが良いですし、手伝うほうに何か目的があったりすれば、結論は違ってきます。答えはひとつではないのです。いわば状況判断なのです。「原則として1人でできる仕事は2人でしないでほしい。」と説明しているのですが、手伝ってはいけないわけでもありません。不思議なことに「状況判断」を教えなくてもできる人、少し教えたらできる人、教えてもできない人がいます。教えてもできない人というのは、手伝う必要のない仕事を手伝う、いなきゃいけない場所にいない、流れの中で「次にしなけければいけない作業」をしないで不要な動きをする」まあ、つねにバタバタしています。それに対して「状況判断できる人」は動きが少なく、お客様を眺めているような感じなんですが、いつも「今」必要な作業をしています。

連携プレーに支障をきたす人は、使いづらいですね。同じような事を何度も言われたりして可哀そうです。ひょっとしたら「いつも違う事言われてる」と思っているかもしれません。こういう問題は時間をかければ解決できるかもしれませんが、個人事業主は余裕がありませんから、半分あきらめて、連携が必要な時間ではあまり使わないようになるだけだと思います。難しい問題です。

飲食チェーンのコストが  悪化するパターン

飲食店の問題解決プロセスのあるある。


例えば、よく売れるメニューの材料に、仕込みが1時間くらい必要で賞味期限が当日限りのモノがあったとします。その日の仕込みが多すぎると廃棄になるし、少ないと商品自体が品切れになって売り上げを失う。だからある程度のロスを見込んで営業する。

仮に、商品売り上げの3%くらいが平均的なロスとします。慣れてきたらすこしずつ下がってきますが、ある程度から下には下げられないんですね。下げすぎると、商品の提供に時間がかかってしまって、お客様を余計に待たしてしまうからです、優秀な現場では、セーフティ機能が働いて平均以下の数字になるでしょう。2%くらいにはできるかな。不慣れな現場は不安定な状態が続きますが、ノウハウを学べば平均的な数字になります。

現場がこういうコストコトロールをしているときに、突然本社の上司が来て「廃棄をゼロ」にしょう!とかスローガンを言い出して、あれこれ数値の分析を始めて、これまでのノウハウを「カンに頼っている」と言って否定する。現場はロスがゼロにならないことを知っていますが、上司の言うことだから聞かざるを得ない。上司は分析データを駆使して人材への押し付け教育によって廃棄を減少させようとする。

7~8%の廃棄をしていたレベルの低い現場は少し廃棄を減らしたが、そもそも3%ぐらいの限界点にいた現場はかえって混乱してしまう。

こういう場合、社員教育では廃棄ゼロにはならない。 


本社の上司がすべきことは、その原材料を違うものに切り替えて賞味期限を延ばすとか、その原材料使用をやめるとか、価格にロス分を組み込むとかの根源的なアプローチをするか、それができないならしばらく静観する、とかでしょう。できもしないことで騒いで結局は現場のせいにする上司はアホです。自分から発案したアイデアを社長に提案したりするのが怖いこら、部下の力不足のせいになるように動くんですな。無責任。

 

「東京の感染者数が減らない」といってTVでお医者さんとかが また、「飲食」についてあれこれ言ってます。曰く、マスクを横からめくるとか縦にめくるとか、アクリル板を増やすとか、5人以上の会食をやめさせる法律を作るとか、いつもと同じような議論をしてる。95%のお店が時短営業に応じている今、ゼロにならないのに、使い古したアクションをマタ言う〜。

人間が生きて、動いてる以上ウイルスゼロには、ならない。根拠のない改善策を言ってるだけの人々は無邪気なもんです。また、飲食店に何をさせる気なんだ?と、ビクビクして聞いてますよ。

国民のせいにしとけば、自分の言葉に責任ないもんね。