飲食店長のブログ ~ 人材戦略の実践レポート

実際に飲食店を経営しながら、そのノウハウを突き詰める

今日で最後ですが、8時閉店の功罪がありましたよ。

今日でまん延防止重点措置期間も終わります。8時閉店もだんだん無理が出てきました。ありがたいことですが、お客様が6時頃から、どんどんご来店されるようになってきています。昨日土曜日もご家族連れが沢山ご来店され、数組お店に入れませんでした。

そうなってくると、家族連れが中心にお店が埋まるので、テーブルの人数が多くなってきます。ホールも厨房も十分な人数がいますので数的問題は無いのですが、納得のいく動きが無い!!

だから、店長から激が飛びます

「もっとホールにでてテーブル上の空いた食器を引いてきてくれ」「あそこのお客さん、メニューで顔をあおいでいるぞ、うちわを持っていけ!」等々。

ふと、ホールは全員2年生なのに、なぜ動きが緩慢なんだろう?と思ったら「あっ」と思う事に気づきました。現在2年生の人は感染騒動後に入店しているから、激しいピークに慣れていない。しかも全員2年生だから、誰に聞いたらいいかもわからない。3年生以上が1人いたらリーダーシップがとれるが、同学年同士で誰がリーダーなのか明確ではない。人材配置のミスもあって、思ったような動きにならない。つまり店長のミスです。

私が悪いのに、私から「激」を飛ばされ、気の毒です。

急場でしたから、きつい口調になりましたが、あとで謝っておきました。

言い訳ですが、8時閉店ってキツイです。一気に満席になるし、オーダーも多いし、ラストオーダーなんか山ほど入ってきます。そんな難しい局面をほぼ初めて経験しているホール女子の立場も考えないといけませんし、全員未経験のような配置もしてはいけない。

おおいに反省する1日でした。8時閉店は難しかった。

 

反面、8時閉店ですから閉店後3人一緒にまかないの夕食になりました。これがまた楽しそう。我々は後片付けしていますので、何の話かわかりませんが、女の子3人で話が弾みまくってました。いつもだったら11時過ぎに閉店なので、「3人一緒に食事」なんていう事はないのですが、これは8時閉店のいいところです。

組織的に大きいことだけが強さではないと実感したなあ。

「弱い者は弱いままなのが一番強い」という言葉を聞いたことがあります。

 

自粛要請に従わない飲食店を押さえつけるために、政府が 銀行や酒販店に「協力を求める」ような文書通達がなされています。これが「圧力」じゃないのか?と批判されています。私はこれが「観測気球」と思っていましたが、実際に文書が出まわってるようなので、政府は少しは本気だったんですね。

 

官僚的な組織にどっぷりつかっている人達は、相手を説得するときに、その人の上司をさがすんですね。自分たちが組織に縛られているから、相手も「偉いさん」から言われたら言う事を聞くだろうっておもうんですね。特に、無理なお願いをしている時にこうなります。

で、大臣が選んだ「偉いさん」は、なんと「銀行」と「納入業者」です。これは無理です。飲食店は銀行傘下ではないし、酒問屋の配下でもない。

政治家の皆様は、官僚組織でトップを目指して働いているので、「上」しか見ていない。だからこんな判断をしようとする。

小さなお店でも一国一城の主としてプライドを持って働いている店主、店長の立場なんかまったく理解していない人達なんだということがわかりました。バカにされている気がします。「まじめにこういう人達の言う事を聞く必要があるのか?」と思った店主。店長も多いのではないでしょうか。

我々、個人飲食店の人間関係は「横」に広がっていきます。アルバイトさんも「下」ではなく「協力者」ですし、お客様が、もしほかのお客様に対して迷惑な行為をすれば、ご退店いただく事もありますので、必ずしも「上」ではないでしょう。

横に横に関係を広げていって、商売を成立させる努力をしますし、その根底には他人に対するリスペクトがある。

一時期、「飲食店は大きな「協会」が無くて政治的なチカラ(集票能力)がないので、軽く扱われている。だから大きな協会をつくったほうが良い」という意見もありました。

しかし、そのような大きな組織が無いからこそ、1人1人の気持ちを表せる。自粛拒否が良い事とは思えませんが、いまや、官僚組織たる政府、自治体は、個人事業者の反抗に対して、手も足もでません。組織の力を使っておさえつける事ができないからです。そもそも「押さえつける」という思想自体がおかしい。合理的な説明ができないから、押さえつける。海外より陽性者が少ないのに、なぜ飲食店だけがやり玉なのか、合理的に理解できないからこうなる面もある

組織を作って大きく強くなることだけが得策ではない。自分らしく戦える「弱さ・小ささ」が、「強さ」なのだと認識しました。

 

 

 

聞いたことを伝えるだけでは、ホール係として失格

今年の新入生のHさんもいよいよ1人立ちしています。

しかし、目下のところお客様とのやりとりに苦労しています。

とは言っても、会話ができないのではなく、ホール係として「何を聞くのか、何を確認するのか」がいまいち、わかっていないってことです。

あるお客様が、焼肉の注文ともつ鍋の注文をいっしょにしました。Hさんはその通り私に伝えます。で、私が「焼肉ともつ鍋は同時にだすのか、焼肉をしてからもつ鍋を出すのか」を確認すると、Hさんは答えられません。それでは困るので確認してくるように指示しましたが、帰ってきても、どちらかよくわからない。で、再確認。「お連れ様が来たらもつ鍋を出す、、」が答えでした。では、お連れ様はどれくらいあとに来るのかが問題です。確認は、テーブルのセッティングのためです。

この場合、焼肉中にお連れさんが来るとみこんでカセットコンロも七輪の横におくほうが無難です。コンロだけ置いておいて、もつ鍋は出さなければいいんですから。と、まあこういう思考回路になるんですけど、そこがうまく繋がらない・・・。

 

また、伝票をみると「カルビロース食べ比べセット」を3人前と書いてある。「カルビロース食べ比べセット」は一皿に4人前のお肉が乗っているプレートなので12人前のお肉の注文になります。値段は1万2千円くらいになる。3人組のお客様のイニシャルオーダーとしては多すぎます。で、再確認させようとしましたが、Hさんは「カルビロース食べ比べセット」がそもそも4人前プレートだということがわかっていないようですので、私が確認に行きました。おっちゃん3人組で、最初は「なんでやねん」って感じだったのですが。「12人前食べますか?」と聞いたら「それは違う」と分かってもらえました。

本来、お客様が勘違いしている場合、ホール係がきちんと説明してほしいのですが、自分が知識なかったり、人懐っこくなかったりして、上手くコミュニケーションできないんじゃないかと思います。教えたら簡単なことなんですが、お客さんの前で緊張もするんでしょうなあ。いつも、なにか食い違ったり、聞き忘れたりしています。

恥ずかしがり なのかもしれません。

でも、プロとして何の目的で何を確認しないといけないのかを考えてほしい。確認が浅くて、厨房に迷惑かけたり、お客様のクレームになったりしないかを恐れてほしい。

聞いたままを伝えるだけでは、ホール女子ではない。キツイ言い方ですが、これを伝えないといけない・・・・。

 

Hさんは明らかに「期待の新星・大器」です。ネガティブにならないように、かつ正しい事がつたわるように教えていきます。

 

 

 

一生懸命やってる中で起こるミスについて考える

最近、一生懸命やっている中で、チームのメンバーがミスをしたら、どんな考え方をもって対策すればよいかについて考える機会がありました。

 

私は昔、ある店舗で店長をしていた。テイクアウトとイートインの両方が可能な店舗だ。その店でテイクアウト時の「入れ忘れ」が頻発するようになった。

私は「入れ忘れ」を撲滅させる為に、あらゆる分析と対策を行った。

発生時間の特定、だれがやったか、その原因をつきつめ、反省を促し、改善アクションを細かく設定した。その一連の作業記録を全従業員に公表し徹底した。

 

で、

結果として入れ忘れは激増した。

 

私は 動揺し、考え直した。考え方を変えるしかない!

 入れ忘れに対する調査と分析は自分で、従来通りに実施したが、「だれがやったのか」は公表せず、入れ忘れが起こったシチュエーションだけ従業員に公表し、改善アクションは特定せず「私たちのお店がお客様の期待に応える事ができなくて残念です。」とだけ伝えた

 

結果、入れ忘れは激減した

 

私は、従業員の良心を信用する事と、1人の責任を追及したほうが良い場合と、全員に責任がある事を押し出したほうが良い場合の両方がある事を学んだ。

 

リーダーの基本はチーム力を信用することだ。

 不正行為ならば「犯人」を見つけ出して罰するべきだ。でも一生懸命働いている中で起こるミスを1人の責任にして罰してしまえば、他のメンバーには責任が無い事になる。

お客様に良いサービスができなかったのは「お店」である。「お店」とは従業員全員である。お店がお客様に良いサービスができていないのに、「あなたには責任はない」と伝える事は危険だ。1人に「お店」全部の責任を負わせるのではなく、全員のココロに少しづつ、痛みや責任を感じてもらうほうが、次の実効性は良くなる。1人1人の負担も軽くなり、改善プロセスに集中できる。

失敗したら、分析して事実・原因を完全掌握する必要はある。しかしその原因を、ひとまずは経営者が把握するだけにとどめておくべき。

そしてその事実・原因の「従業員への伝え方」が改善プランの始まりです。これを誤ると何も改善されないどころか、より悪化することになります。

 

(2020年5月25日に書いた「リーダーシップ」というブログを再利用しています)

新1年生の「親睦会」がバイト先のお店になるって素晴らしい

昨日、新一年生アルバイトの女子3人が当店に食事に来ました。2時間くらいおしゃべりして楽しそうでしたので、あんまり会話に介入なんかしないで、すこし一品をプレゼントしておくだけにしました。全然違う地域の出身ですので、アルバイトを始めてから友達になったようです。バイト先で知り合った同士が、「じゃ、ごはんでもいっしょに食べよか~」ってなったんでしょうね。1人暮らしの人たちですから、寂しいだろうし、良い友達作りができたらいいな、とも思います。

こういうときに、バイト先のお店を選んでいただけると、安心だし、すこし気分が良いです。なぜなら、彼女らにとって、いつもホール係をやりながら「お客さんとして利用したいな」と思ってもらえるお店でありたいと思うからです。料理・サービス・雰囲気・清潔感・値段等が 彼女らのおメガネにかなったんだなと安心します。

その昔「スーパーの女」という映画がありました。経営が甘くて、賞味期限が守れない「正直屋」というスパーがありました。もちろん従業員さえ「正直屋」では買い物をしません。この「正直屋」の社長があくらつな「安売り大魔王」というスーパーとの闘いの中で、お客様に喜んでもらえるお店作りに取り組むという方針を立て、トータルな顧客サービスのレベルを上げることにより、安売りスーパーとの戦いに勝利するというストーリーです。その最後のシーンが、正直屋の従業員が楽しそうに「正直屋」で買い物をするシーンでした。自分のお店の商品やサービスを自分のお店の従業員に好きになってもらう、信頼してもらう事の大切さや難しさを学べる映画だったですね。

今回のような従業員同士の食事をいつもいつも、私のお店でやってほしいとは思いませんが、(いろいろ愚痴もあるでしょうから)新1年生が第1回の「親睦会」に当店を選んでくれたことにホッとしていますし、嬉しいです。

こういった、ほのぼのした友人同士の食事さえも規制するような。ぶしつけな要請は早く解除してほしいとも思います。

 

せっかくの経験がおかしな「積み上げ」にならないように

いよいよ、この4月以降に採用した人達が「プラス1」働いていた研修期間を終え、ひとつの戦力として稼働する時期になりました。

ホール女子は通常1人から3人の体制をとります。その中でも2人体制が一番多くて、個人のレベルやコンビネーションによる生産性の差が出ます。

今年採用のHさんも先日2人体制で働いていました。そのとき豆もやしとキムチ盛りを、お客様に持っていこうとしていたら、違うテーブルから「すみませーん」と言われました。Hさんはフリーズしてしまったので、私が「すみませんの方へ行け!」と指示しました。

新人の人は「ドリンクを入れる」とか「料理をサーブする」とか「注文を聞く」とかの作業を覚えたらトレーニング終了ではありません。同じような用事が同時に起こった時どうするか、が大事な事だからです。彼女はこういうケースに、まだ躊躇します。

躊躇したら私の方を向くので、どちらを先にするかを指示するのですが、そのあとのフォローが大切なんです。

今回の場合は、「すみませーん」を優先しましたが、いつもそうではないという事を理解してもらう必要があります。サーブしようとした商品が「豆もやしとキムチ盛り」だったから「すみませ-ん」への対応を優先しましたが、サーブする商品が石焼ビビンバだったらそうはいきません。冷めちゃうからですね。店長が指示したから、いつも「すみませーん」が優先されるのではなく、臨機応変です。大切な事は自分として、判断の理由を持つことです。

さらに、困ったときに頼るのは私ではなく、もう一人のホール女子であるべきです。こまったら私ではなくもう一人のホール女子がどこにいるのかを確認するのが先です。っていうよりも常に、どこにいて何をしているのかをお互いキャッチしていないといけない。お客様のために2人が共同作業していれば生産性は倍化します。

そういう意味では同じ学年の2人をホールに出しているほうが生産性は上がりますね。

こういうことのどこまでを話すのか、いつも葛藤しています。Hさんも今のところ混乱状態ですが、せっかくの経験がおかしな積み上がりにならないように、目的はすべてのお客様にベターなサービスをする事で、答えは常に1つではない事を伝え続けていきます。

根気よくオンザジョブでお話しするしかない、が今のところの私の結論です。

 

ほっけの開きをまかないにすると、すごく喜ばれました

お店で使う野菜が足りなくなったのでスーパーに買いにいきました。そしたら、おいしそうな「ほっけの開き」が3尾120円に値下げで売られていました。これは「まかない」に使えるなと思いました。普通に「まかない」を作るよりもはるかに安いし、たまには焼き魚もアリか、てな感じです。

で、ちょうどその日のバイトさんも3人なので、ほっけを七輪で炭焼きしてあげました。七輪って「ほっけ」が上手に焼けるんですよ。遠赤外線でふっくら美味しくなります。一時、売っていた事もあるくらいです。お店のイメージと合わないせいか、売れなかったので止めましたけどね。

これがバイトさんに大うけ。数日前に体調を崩していたOさんは郷里のお母さんから、お魚を食べるように言われていたそうです。でも家で焼くのは面倒だなと、スルーしていたところ、おもいがけず、焼肉屋で焼き魚!!となって、お母さんにうれしそうにラインしてました。お母さんも軽く感激。タイミングばっちりでした。この日はすこし延長して働く事になったんですけど、さらにハッスルして楽しそう働いてくれて、名残惜しそうに帰っていきました。

もう一人のバイトYさんはオール電化で1人暮らし。IHでは焼き魚は難しいらしい。炭焼きの焼き魚は絶対食べれない「ごちそう」に見えるようです。

本人も喜ぶし、ご実家のお母さんを安心させる効果があるなら、ちょっとスーパーに行ったとき、魚の売り場も見ておく必要もあるかな。

ダクトもついてるし、においも残らない、七輪で炭焼きできるお店で良かったな、と思いましたわ。