カップルのお客様が食事されていました。
七輪から炎が上がっていましたので、「すみません、危険なので消します」といって水で消火しました。
網の上を見ると、とろてっちゃんの脂身が焦げていて、皮が生焼けだったので「ホルモンは皮をよく焼いて、脂身はなるべく焼かないようにしたほうがおいしいですよ」とアドバイスしながら、私がすこし焼き直しました。
お客様はそのとろてっちゃんを「美味しいなあ」といって食べて、さらに1人前注文されましたので、「じゃ、今度は私が最初から焼きますよ」といって、最初から最後まで私が焼きました。
自分で言うのもなんですが、むちゃむちゃうまく焼けました。
食べたお客様にも、相当なインパクトがあったようで「こんなホルモン食べたことない!」とか「今日は得した!!」とかのコメントをいただきました。
その後、そのカップルは ごはんを注文されました。
女性がごはんを一口食べたあと、男性と何やらお話されたあともう1杯ごはんを注文されました。そして、従業員に「こちらのごはんの産地はどこですか」と尋ねてきました。
ごはんが美味しく感じたそうです。
当店のごはん以前にも言いましたが、京丹後の「朝日農園」さんのお米で、農園から直送で仕入れています。最近「新米」になりました。とにかく香りがあって、美味しいです。
そういった事をお話して、
「お米自体が良いんだと思いますよ」と説明しました。お客様は感心していました。
ホルモンが格別に美味しいと感じたからこそ、お米の味にも気が付いていただけたとも思います。
ホルモンのおいしい焼き方を知り、新米のおいしさを経験したカップルは、帰り際に、大満足だったことを伝えてくれました。さらに「これまで間違った焼き方をしていてすみませんでした」と謝っていかれました。
もちろん、「謝る必要なんかないですよ、また来てください」 と対応しました。
飲食店ですから、食べる物が旨いことは何よりも大事です。
でも、ホルモンを上手に焼いてもらうためには、ちゃんとしたコミュニケーションが必要です。手間のかかる作業ですが、それをやり切ると重厚な信頼感が生まれ、事業の成功があるのでしょう。
単なるリピーターではなく、いわゆる、ロイヤルカスタマーを獲得するってこういうことなんだな、と思います。