夏になると思いだすことがあります。
私が「かけだし」で店長にまだなってないときのことです。
ベテランアルバイトの女性が
「今度の店長、暑がりでよかったわ」と言っていた事が印象に残りました。
いまから40年近く昔の事です。
店長交代でやってきた新しい店長は客席や厨房のエアコンを惜しまず使ってくれるので涼しくなって嬉しい、ってことです。
新人社員の私は、何にも知識がないので特に何も感じず「へー、そーかー」と思っていました。
前任の店長にもその時の店長にも、いろんな仕事を教えてもらいました。その後も確実に出世された優秀な人物でした。
「今度の店長、暑がりでよかったわ」
その時は気づきませんでしたが、
今ならばこの言葉について、意味や影響力などいろんなことを感じます。
お客様の快適さを求めてエアコンの温度設定を下げても、アルバイトさんには「店長が暑がりだから」程度の理解です。
お店の行く末を考えて利益を出すために論理的な節約を訴えても「店長ケチだから」って言われるのがオチです。
アルバイトさんが論理的思考力が無いといってるのではありません。アルバイトさんのほとんどは主婦とか学生とか、他に職業や役割をもってますので、アルバイトの仕事を深く考える時間もないし、その必要もない事を店長は認識すべきだ、と言いたいのです。
ですから、現在の私は、アルバイトさんに論理的な事を言ったり、書いたりすることはほとんどしません。
その代わり、いくつかのフレーズを連発するようにしています。
「お客様のおしぼりは 何回換えてもいいよ」
「焼き網の交換は無制限に行っていい。」
「おしぼりも焼き網も、あなたが換えてあげたいと思えば躊躇なく実行してください」
「お金に関わる失敗はするな」
「お客様が怒らなくても、オレが怒るかもよ」
こんな感じです。
良いサービスとは何か? お客様の満足を引き出すには?
とかビジネスに対する価値観を多くのアルバイトさんと完全に共有することは難しいし、そんな事言われてもアルバイトさんにとってはいい迷惑かもしれません。
でも、サービス面でも収益面でも良い店にしなくてはいけません。
ですから、
まずは、感性に訴えるフレーズを多発ます。
もちろん、興味を示してくる人には、個人的な話題として、サービスの事やビジネスの事について雑談的に話し合う事もあります。
何年も前に聞いたなにげない主婦アルバイトさんの一言ですが
聞いた瞬間に受けた感触や違和感が今頃になって役立っているようなこともあります。
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