私が若いころ、とあるファーストフードのお店の店長をしておりました。むちゃくちゃ売れるお店でした。
そのお店に店長として着任して最初の日曜日のお昼のピークは、製造が追いつかなくて、売上げがぜんぜんとれませんでした。
アルバイトさんにとっては「いつもこんな感じですよ」って感じでしたけどね。
私にはお店が回らなくなる原因はすぐにわかりました。
なぜならば、、、、
ちょっとマニアックな説明になりますが、
その会社には揚げ物に関して「プルドロップ」というシステムがありましたが、それがこの店は使えてなかったのです。
「プルドロップ」とはマネージャーの指示が無くても、同じ個数を揚げ続けるという事です。連続オーダーとも言いました。たとえばある商品の6個のプルドロップといえば、6個を油に沈めタイマーで調理時間を管理し、6個が揚がったら次の6個を揚げ始めるという事です。(引き上げたら沈める=pull drop)揚げ物は3種類がありましたが、マネージャーの仕事はその3種類を何個づつ揚げていくかのレートを決めるだけです。1時間に何個売れるかを予測できていればレート作りは簡単です。
データは十分にありますので、外れる事はありません。レートが正しければ廃棄も出ませんし、お客様をお待たせする事もありません。
しかし、このお店は「プルドロップ」のシステムを正確に知らなかったので、マネージャーの単発オーダーで昼ピークに対応していたのです。ピークになればストックが余ったり、キレたりで何人ものマネージャーが狭い揚げ物のエリアに集まって右往左往し始めます。ほかのエリアからヘルプに入ったりもします。結果、揚げ物だけでなく、あらゆる商品の製造が遅れてしまい、お店が機能しなっていました。
売上を伸ばすための改善点はココだ!とすぐにわかりましたので、翌週からプルドロップを導入しました。 売上げは20%アップ、生産性が上がり労務費は同じか、または減らす事が出来ますので利益は倍増しました。
私は従業員には尊敬されましたね。
私の感想は「嬉しい」というよりも・・複雑でした。
「こんなにたくさんの人が働いているのに、なぜ気が付かなかったのだろう?」
情報は来ていたはずだが、店長は促進しなかったんだな。店長が動かないと、従業員はそれでいいとおもうし、店長が用意した環境の中で全力を尽くしていることが従業員のベストですもんね。
リーダーがどんな環境を用意するのか、それが大切です。
それがリーダーの仕事のほとんどではないでしょうか。
環境を整備して、改善し働きやすくしてあげればメンバーはもっと良い仕事をしてくれます。
逆に、狭苦しい・制限の多い、ゆがんだ考え方の環境を作ってしまったら、従業員全員が生産性を失ってしまって、責任の押し付け合いになるでしょう。
働いている人は自分たちの環境がどうなのか、なかなかわからないでしょう。
リーダーの能力って大切ですね。
お店の中で営業中に自分で頑張るのもいいですが、みんなの頑張りが成果になるようにマネジメントするチカラが無いと存在価値が無い。
今の社会は、どちらの方向にもがんはれないような気がする。