飲食店長のブログ ~ 人材戦略の実践レポート

実際に飲食店を経営しながら、そのノウハウを突き詰める

採用と育成はリンクしているのです

ある人とお話をしていて、こんな事を言われました。

 

概要としては

「おタクのお店のホール係さんで、イヤな思いをすることは全くないですね。他のお店では、『なんやこいつ!』って思う事もあるのに・・・。うまく育てておられますね」

こんな感じの内容だったと思います。

 

まことにありがたいお褒めの言葉です。しかし、私は考え込むことになりました。

 

私のお店では、どんな”人材育成”をしているのだろうか?マニュアルは作らないことにしていますし、ギチギチにトレーニングしているわけでもありません。ベテランでもありません。いまだにお酒の事がわからない人も多い。

 

で、私が達した結論は

「ノーマルな人を採用して、ノーマルに育成しているだけ」だということです。

 

伝票の書き方とか、ドリンクの作り方とかは教えますが、全部は覚えこまないまま働いています。わからなければその都度確認しながらやっています。

 

「こういう接客をしなさい」、とか「こういう用語を使いなさい」といった指導はしていません。

 

なぜなら、ちゃんとした大学生さんを採用しているつもりですから、お客様にはどう接するかは知っていると思うからです。

 

でも、接客している姿を見て、飲食店として気が付くべきことを気付いていなかったら「網を変えてきてくれ」「スープを補充してくれ」「おかわりを聞いてきてくれ」とか具体的な指示はだします。1回はその作業(仕事)を経験させるためです。一度経験した仕事は「スキル」となりますのでその後、時に応じて発揮してくれます。

 

行動を見て、具体的な指導をする事は大事です。

それに反して、マニュアルを読ませてその通りにやらせることは危険です。

 

「お客様が御来店されたら元気にあいさつしましょう」から始まるマニュアルを作る事は不必要だと思います。そんなことは誰でも知っているし、知らない人は雇ってはいけない。

 

また基本的な言葉使い等のマニュアルを作ることによって、新人に「いつもの自分を出してはいけないのだ」と思わせるなら、これは大きなダメージになります。

 

キャラクターが良いから採用しているのです。

 

ですからそのままサービスしてもらうべきなのですが、「マニュアルを完備する」ために、基本的なキャラクターを殺してしまうのです。

 

結果として、おかしな感じの言葉使いや動きが実行されてしまいます。普段は良い子なのに、アルバイトで接客するときは おかしくなっている人も多い。

 

日本人は同じ言語で、同じ感覚で生活しているのです。

 

言わなくてもわかる事をあえて言うことによって「誤解」を生んでいる事に気が付かなくてはならない。気持ち悪い、不愉快なサービスが横行する原因の一つはこれです。

 

教えないとわからない事を教え、言わなくてもわかる事はそのままにしておく。

 

そう考えると、「教えないといけない事」はそんなに多くないです。

 

採用と育成はこういうふうにリンクしているのです。